準々決勝・準決勝も大谷が試合の流れを作り勝利!

1次ラウンドを全勝で勝ち上がった日本の準々決勝、準決勝の戦いぶりを振り返っていこう。

準々決勝の相手はイタリア。この準々決勝からは負けたら終わりの戦い。そんな試合で先発の大谷翔平は初回から気迫あふれるピッチングを見せた。

初回から飛ばしていき、2回には164km/hを記録。決め球のフォークも冴えわたり、試合序盤はイタリア打線を寄せつけないピッチングを見せた。

打っては3回に2番に入る近藤健介が出塁すると、3番大谷はイタリアの極端なシフトに対し、味方を含む意表を突くセーフティバントでチャンスを広げた。

大谷はこの場面を振り返り「チームの勝利より優先する自分のプライドはなかった」とコメントしており、誰よりも勝利にこだわっているのがわかる。このセーフティバントにより、日本は吉田正尚のショートゴロのあいだに先制点をあげた。

ピッチングではその後、初回から飛ばしたことや走塁の影響で疲れがみえたこともあり、5回途中まで71球5奪三振2失点の内容でマウンドを降りた。

この国際大会で誰よりも注目を浴びている大谷だが、そのプレッシャーを軽々と乗り越えて結果を残した。このイタリア戦では改めて、パワー・技術・スピード・メンタリティ全てが選手としてトップクラスだと認識できる試合になった。

その後、岡本和真のスリーランホームランで追加点を挙げるが、この得点の流れは大谷の闘志が他の選手にも乗りうつったと言っても過言ではない場面だった。

さらに、2点返されたあとの5回には無死1,2塁のチャンスで、村上宗隆がセンターオーバーのタイムリーツーベースを放つ。続く岡本も右中間に2点タイムリーツーベースを放ち、一気に突き放した。

その後、村上は7回にもツーベースを放ち、初のマルチヒットを記録。大会序盤は不調だった若き主砲が、復調の兆しを見せ始めた。

長打力が持ち味の2選手に当たりが出たことは大きい。この試合で吉田にもホームランが出たことから、準決勝以降ではイタリア戦のように大技と小技のバランスを駆使したトータルベースボールも見られた。

9対3でイタリアをくだし、メキシコとの準決勝に駒を進めた。

日本にとってWBC5度目となる準決勝の戦いは佐々木朗希が先発。初回から飛ばしていき、2つの三振を奪うなど素晴らしい立ち上がりを見せた。

2回はルイス・ウリアスの打球が、腹部を直撃するというアクシデントもあったなかで、無失点に抑えた。

その裏の日本は、メキシコ先発投手のパトリック・サンドバルから吉田がヒットで出塁するも、村上は三振に倒れ、岡本は併殺打に倒れてしまう。

試合が動いたのは4回。二死から連打を浴び、2回にヒットを放っているウリアスに先制となるスリーランホームランを打たれる。佐々木はこの回でマウンドを降りる。

あとを受けた2番手の山本由伸は、メキシコに流れを渡さない素晴らしい内容のピッチングを見せる。

それに応えるように、日本は4回から6回まで再三チャンスを作るが、無得点のままイニングは進む。

しかし、守り抜いているメキシコは、日本がボールを捉え始めていることにプレッシャーを感じていただろう。1巡目こそ圧倒的な投球内容を見せていたサンドバルは、4回から日本打線が捉え始めていたため、4回1/3でマウンドを降りた。

7回に日本は二死から近藤がヒットを放ち、ホセ・アルキーディをマウンドから降ろす。3番手のジョジョ・ロメロから大谷は四球を選び、4番に座る吉田がライトスタンドへのスリーランホームランを放ち、同点に追いつく。

しかし、8回に疲れが見え始めた山本が捕まり、甲斐のリードも読まれ始め、再び2点を勝ち越されてしまう。

追いついたあとに突き放された日本は、その裏にヘスス・クルーズから岡本の死球と山田のヒット、源田の送りバントでチャンスを広げ、代打・山川穂高の犠牲フライで1点差にする。

その後も同点のチャンスを作るも、近藤が見逃し三振であと1本が出ないまま9回を迎える。

9回裏、メキシコはメジャーリーグでも活躍しているジオバニー・ガイェゴスをマウンドにあげる。

日本は先頭打者の大谷がツーベースを放ち、チャンスを作る。その際にヘルメットを飛ばして、自己演出しながら日本を鼓舞する。

この大谷のツーベースにより、流れは一気に日本ペースになる。続く吉田は四球を選び、無死1,2塁に。ここで吉田に代わり、代走の切り札・周東佑京が一塁ランナーとなる。

この試合、当たりがなかった村上に回るが、センターへのフェンス直撃のタイムリーツーベースを放つ。その間に周東は一気にホームを陥れ、逆転サヨナラ勝ちで決勝進出を決めた。

このメキシコ戦では、今大会初めて試合終盤までビハインドの展開になった。

さらに、1次ラウンドでは、圧倒的なピッチングを見せていた佐々木や山本が打たれるなど、想定外な部分もあっただろう。

この展開にも動じず、大谷を中心とした打線は、じわじわとプレッシャーをかけながら、得点を積み重ねて勝利した。