40代芸人が気づいた親の介護のリアル

一番ラッキーなのは、実家が都心近郊にある芸人だ。稼ぎがなくても、実家だから家賃もいらないし、腹が減ったらお母さんが作った温かいご飯が出てくる。

これは非常に恵まれた環境だ。ただ20代ならともかく40歳を過ぎても実家に甘えてのらりくらりと過ごしてる芸人もいかがなものか。

俺は25の時に父親に「実家から出て1人で暮らしてみろ」と言われ実家を出たが、やはり一人暮らしはそれなりに大変だった。

実家暮らしの芸人は「親のすねかじり」とトークなどでイジられるのだが、この歳になるとそろそろ親の介護が必要になったりして、親の面倒を見るために実家に帰る芸人も少なくない。

親の介護か。

売れないまま40代半ばを過ぎてしまったが、当たり前だがその間に親も同じだけ歳をとっている。ふとそのことに気がついてびっくりする。昔は漠然と親はいつまでも元気なんだろうと思っていた。

だが、親は自分より先に死ぬ。俺の年上のいとこが言っていたことを思い出す。

「子育てはいいよ。頑張って育てたら、どんどん出来るようになっていくから。その点、介護は大変だ。頑張っても頑張っても、どんどん出来なくなっていくんだから」。

これから先、母親や嫁の両親がそうなるかもしれない。その時までには俺がめちゃくちゃ売れて、大きな広いバリアフリーの家を買って、一緒に住めたらいいなと思った。

俺も自分の子供には25歳までは実家にいてもいいが、そこからは自立して家を出ろと言うつもりだ。そして、少しでも健康で長生きできるよう、今日もウーバーで走り回る。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回4/21(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする47歳。Twitter:@TAIGAtrendy