猫の多頭飼いは楽しいだけじゃない

――猫の多頭飼いはいい面がピックアップされがちですが、それ以上に大変なことがいっぱいあることが、この漫画を読むと伝わってきました

カワサキ まず猫同士の相性の問題があるので。本当に相性が悪かったら最悪なんですよ。喧嘩するし、喧嘩の弱いほうはすごくストレス溜まるし。

あとは平等に愛情を注がないとスネちゃう。そういう面で気遣ってあげなきゃいけないことも多くなります。大変なことも多いなとは思うけど、やっぱりそれ以上に一緒にいられることが幸せだなって思いますね。

▲二番目にお迎えしたメグちゃん

――医療費がかかる、旅行に行きづらいなど、猫を飼うなかで癒しばかりではない部分も描かれていましたね

カワサキ 家具は破壊されるので、新しい家具は絶対買わないようになりました。以前に「引きこもりだけど運動はするぜ!」とエアロバイクを買ったんですよ。そのバイクの下に傷防止用のマットを引いていたら、そのマットが猫たちの爪とぎとして最高だったらしくて、どんどん削れていって、今はバイクが床に密着している部分しか残されていない状態になっているんですよ。「これはひどい」と来る人みんなに言われます(笑)。

それに、エアロバイクを漕いでいると、猫が寄ってきてペダルのところにすごい近づくから危ないんですよね。今はバッグかけとして使っています。YouTubeのヨガ動画でも猫が邪魔してくるのはお見掛けすると思うんですが、あんな感じで何かちょっとでも新しいことをしようとすると「なんだなんだ」って来るんです。

▲アイちゃん(左)とアルくん(右)

あとは魚を焼かなくなりました。魚を焼くと猫たちのテンションがすごい上がるんですよ。「今日のご飯ってすごいの!?」って期待しちゃって。ここでカリカリを出した日には「ものすごい信じていたのに裏切られた」っていう顔をされます(笑)。

猫との期待しない関係

――漫画の最後に少しだけ触れられていたニューフェイスの2匹についても紹介してください!

カワサキ ノンとメグが亡くなった1年後くらいに最初に来たのが「チヨ」という、(カワサキさんの)弟の子どもが拾ってきた猫です。うちの弟の家も拾い猫をたくさん飼っていて「うちではもう飼えないからどう?」って言われて、「いいタイミングだ」と思って1年後くらいにもらいました。ノンとメグはどちらも病気で12~13歳ぐらいで死んじゃったので、「長生きしてほしいと」いう意味を込めて“千代に八千代に”からチヨちゃんと名づけました。

その1年後、また弟のつてで「誰かもらってくれないか」って言われて、そのときは「今後は3匹飼いにしようと思っているから」と断って、里親さんを見つけたんです。結局、その里親さんは駄目になったのですが、預かっている時期に情を移したくなかったので、適当に「いがぐり」って名づけたんですよ(笑)。毛がボサボサでツンツンしていて、いがぐりっぽかったから。最低限のお世話と最低限の遊びで情を移さないようにして。

病気ですごく目ヤニがいっぱい出ちゃって病院に行ったら、そこの先生がいがぐりの名前を「すごくセンスのある名前だね」って、ものすごく絶賛してくれて。それからうちで飼うことになっても、ずっと「いがぐり」です。そして情はしっかり移りました(笑)。ブラッシングもするし遊ぶし、寝るときもすごい近くで寝たりしています。飼い主はちょろいです(笑)。

――以前に執筆した『結婚の種』は、男運がとことんないカワサキさんが結婚相談所や、出会い系サイトを取材していく内容でしたが、今はもう“男よりも猫”といったところでしょうか?

カワサキ ホストに貢ぐのか猫に貢ぐのかっていう話だったら、猫に貢いだほうがいいじゃないですか(笑)。貢ぎ体質の人は猫が向いているかもしれません。気まぐれだし、愛情あげても返ってこないし、当たり前のように下僕扱いされるし暴力を受けることもあるし、ほかにも酷いことをされるけど。軽いDVなんかはいつもです。

でも、人間と違って暴れたりしないし、(私みたいに)首も絞められないから。骨も折れたりとかしないんで。やっぱり期待しちゃ駄目なんですよね(笑)。彼氏とかだと期待しちゃうじゃないですか、「これやってくれないかな」とか。恋愛の駆け引き的なことも含めて、猫なんか何にもやってくれないから、最初からなにも期待せずいい関係を築けていけますよ。

▲カワサキカオリ著『結婚の種』(ワニブックス刊)

――これからも多頭飼いを続けていきたいと本にも描いていましたが、次にお迎えするならどんな猫がいいですか?

カワサキ 今、いがぐりだけ名前が4文字でちょっと可哀想なので、次にお迎えする子の名前はいがぐりと同じ4文字の「どんぐり」にしようと思っています。よくあるじゃないですか、人間の子どもでも陸・海・空と名前をつけたのに、もう1人できちゃって違う雰囲気の名前になるみたいなの(笑)。いがぐりが卑屈にならないためにもそうする予定です。

――それでは最後に改めて本の見どころを教えてください!

カワサキ 「猫はいいぞ!」ってことですね。漫画を執筆した大きな目的はそこですね。ツラいことがあっても猫を触っていれば、忘れはしないけどだいぶ楽になりますね。お世話は大変だけど、それ以上の幸せがあります。


プロフィール
 
カワサキカオリ
パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍中の実践・実録漫画家。実生活では20代後半に猫沼に落ち、その後は猫中心の生活を送る。代表作『ジャグってますか!?』『結婚の種』『女ふたり原付で東日本縦断して水曜どうでしょう祭に行ってきた!』など。Twitter:@kaorijagjag