腎臓病の猫と飼い主の手助けになりたい

――『猫が4匹いる暮らし』(竹書房)の発売おめでとうございます! 猫たちとの暮らしを綴った本が出るようになったを経緯や周りの反響などをお聞かせください

カワサキカオリ(以下カワサキ) ありがとうございます! そもそも単行本になるとは思っていなくて。昔から編集担当のパンダ様(カワサキさんがつけたあだ名)がいい加減だから、「やります」と言ってやらないことがすごく多い人なんです(笑)。「単行本になったらいいね」くらいの話半分に聞いていたんですけど、その話をした1ヶ月後ぐらいに「表紙がこんな感じで会議をします」って言われて、「本当になるんだ」とそこで実感しました。

(超人気パチンコライターの)河原みのりさんをはじめ近しい方や、限定ペーパーを書いた書店さんにわざわざ行って購入した読者さんから「新刊手に入れました!」との報告があり、すごくうれしかったです。

漫画のなかでも綴っていますが、メグが腎臓の病気になったのが末期症状ともいえるステージ4のときで。それからご飯を変えたり、家で補液を注入するにはどうしたらいいのかをすごく勉強して試行錯誤しました。そもそも末期になって初めて病院に行って、猫が腎臓弱いのも知ったんです。だからすごく後悔しました。

現在まさに腎臓病の猫を管理している方や、これからそういった事態に遭遇するかもしれない飼い主さんのために「どういう対応をしていけばいいかを知ってほしい!」と思ったのが執筆のきっかけです。

――今回は病気のエピソードなどリアルな描写も多く、かつカワサキさんらしい笑いもあるという、ほかには無いようなエッセイ、という印象を受けました。

カワサキ リアルさについては、描いているときも常に意識していました。猫や動物と暮らすのって楽しいことばかりではなくて、汚い部分も絶対あるわけじゃないですか。そういうところも含めて、私は猫ってすごく最高の生き物だと思っています。愛玩動物というよりかは、一緒に住んでいるルームメイトに近いんですよね。飼い主目線というよりは、同じレベルで戦っているようなところがあります(笑)。

▲一番初めにおむかえしたノンちゃん

――むしろ対人間よりも猫のほうに気を遣っているように伺えました(笑)。

カワサキ 奴らのほうが賢いので負けるんです。ご飯の置く場所ひとつにしても、「ここに置いておくと勝手に食べられるから、こっちに移動しよう」を何度も繰り返すくらい、日々イタチごっこの頭脳戦が繰り広げられますね。ご飯の好き嫌いも激しくて、気分や味覚もしっかりあるし。

病院に行くときは(猫を)入れていくキャリーケースを見た瞬間に隠れたりするので、「今から私は買い物に行くよ」みたいな演技をしながら、そーっと後ろから抱っこして行きます。そして、その演技すら見透かされるときがあるんです。アシスタントのししょー(カワサキさんがつけたあだ名)と「あいつらかしこすぎんだよ!」と文句をよく言っています(笑)。

――犬も以前は飼われていたとのことですが、多頭飼いをするほどに猫にハマったのはなぜだと思いますか?

カワサキ 今でも犬は好きですが、猫の多頭飼いが定着したのは生活環境が変わったことが大きいです。当時は犬って基本的に外飼いだったんですよね。犬を飼うなら好きな犬種の中型犬を飼いたいという気持ちがあるけど、実家だとそうにはいかない。そして、犬はどうしても毎日散歩をしなきゃいけない。その頃から仕事で漫画を描いていたので、それも難しいところがありました。

それで初めて実家で猫を飼ってみて、自分のライフスタイルにしっくりきたのが猫飼いの始まりです。あと、もともと引きこもり体質で外に出たくないタイプなので(笑)、そういうタイプの方にも猫を飼うのはおすすめです。

▲ダイエットに成功したアルくん

多頭飼いをしているのは、2匹以上一気に飼ったほうが楽だからです。猫は猫同士で遊んだりすることが多いので、1匹で寂しい思いさせるんだったら、2匹飼ってあげて「好きに遊んでな!」っていうほうが、飼い主としてもすごく楽なんですよね。そのなかで社交性が身につくので、ちゃんと甘噛みを覚えるんですよ。

あとこれは漫画でも書きましたが、1匹だけに集中して飼うと「死んじゃったときに立ち直れないな」と思ったんですよ。多頭飼いだと残った子たちもいるから「まだ私は生きていかなきゃいけない」っていう心の支えになります。