ねじ曲がった性格
皆さまはスーパー3助という男を知っていますか?
数年前のキングオブコントで2位になった「にゃんこスター」というコンビの、甲高い声の男のほうと言えばピンとくるんではないでしょうか? それからアイドル的な人気を獲得したことも記憶に新しい。
何を隠そう、私と彼は1年以上にわたり、ラジオ番組を担当している。
彼が所属するのは、ワタナベエンターテインメント。お笑い事務所のなかで清廉潔白度が割と高めの事務所で、さらに賞レースで2位という素晴らしい結果を出した男。
文字にすると華やかな経歴にしか見えないだろうが、彼は芸人の中で1番悪鬼に近い存在だと私は思っている。
悪鬼。
辞書を引くと、「人間に害悪をなす存在」と書いてある。うん。しっくりくるな。悪鬼3助。
ラジオが始まると、彼は笑顔で私に語りかけてくる。
「あの芸人さん、あの人気番組でスベッてましたね」
「あの人のツイート『いいね』が全然ついてなかったです」
「あのコンビのライブ、全然チケットが売れてないそうです」
悪鬼は私が喜ぶと思ってるのだろうか、嬉々として不必要な情報を伝えてくる。おもしろエピソードでもなんでもない、ただただ誰かのマイナスエピソードをオブラートにくるむこともせず、生卵のように私にぶつけてくる。
そこには芸なんてあったもんじゃない。なぜこんな芸人になってしまったのか。
おそらくだが、賞レースで2位になったのに徐々に仕事がなくなった結果、だんだん性格が捻じ曲がってしまったのだ。
最近では、私が仕事で体験したエピソードに対して
「自慢ですか?」
と食ってかかる始末だ。私は怒りに震え、ラジオ収録中の二人のあいだを仕切る透明のアクリルボードを突き破り、己の拳で、彼の中の悪を取り払おうと思った。彼の中にはきっと鬼がいる。その鬼が悪さをしているのだろう。