「自分が相手から、どう思われているかを気にし過ぎてしまう」そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。あるTV番組のアンケートで「自分は人見知り」と答えた人は64%だったそうです。「人見知り」は、日常生活に支障が出て治療が必要となる「社交不安症」(昔は「対人恐怖症」と呼ばれていました)になる前の予備軍、放置したままにして症状が悪化する前に、うまく改善する方法を紹介する。

※本記事は、清水栄司:著『大人の人見知り』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

仕事一筋の男性は要注意

人見知りという生き方は、放置すると危険な場合もあります。近所付き合いもせず、コミュニティーにも属さず、社会から孤立してしまうと、認知症になるリスクが高まります。

なかでも仕事一筋だったサラリーマンは気を付けなければいけません。上司や部下、取引先など仕事関係の人付き合いはよくやっていたでしょうが、定年後は、そうした人間関係からは切り離されてしまいます。現役時代、地域の人間関係を積極的に築いてこなかったから、退職後、孤独になってしまった……。そんな話をよく聞きます。

男性の場合、仕事の人付き合いというのは、基本的にはタテの関係ですが、地域社会の人付き合いはフラットで、質が異なります。だから、男性は定年退職すると、戸惑ってしまう。誰でも仕事を辞めて、いきなりフラットな人間関係を作れと言われても、困るでしょう。だから、現役世代のうちから、地域社会などの人間関係を築いておくべきなのです。

一方、女性は、おしゃべりでフラットな人間関係を築くのが上手です。男性の私からすると、本当にうらやましい限りです。

スマホの登場で加速度的に「人見知り」が増加

中年男性の自殺が社会問題化しています。男性の場合、困難を抱え込んで、誰にも相談できずに行き詰まり、お酒などに逃げてしまうこともあるのでしょう……。こんな時に必要なのは、普段から人見知りをせずに、つらいと言える能力です。つらいと言ったところで何か解決するわけではありませんが、口に出して誰かに相談するだけで楽になれるのです。

「雑談力」を扱った本が売れているように、他人と雑談ができるかどうかが重要視されている世の中です。その背景のひとつとして、最近、スマートフォンなどのツールが登場したことでそちらに没頭してしまい、結果、話をしないで加速度的に人見知りになりやすい環境になっている、ということがあるのではないでしょうか。

パソコンもスマートフォンも、たしかに便利ですし、否定はもちろんしません。私の娘たちにもスマートフォンを買い与えるかどうかで妻と今、大変な議論になっていますが、高校生になったらやはり渡さなければいけないとも感じます。しかし、スマートフォンの生みの親であるアップルのスティーブ・ジョブズは、自分の子供には iPhoneを与えなかったという話もあります。