必ずやらなければいけないとわかっているのに、なぜか後回しにしてしまう……。皆さんも思い当たることがあるでしょう。もしかしたら、この記事も何かを後回しにして読んでいるなんてことも……? 行動科学の分野では、自分の行動をコントロールするためには、「行動の具体化」と「キッカケの整備」が必要だと言われているそうです。応用行動分析学の専門家・竹内康二氏に、後回しグセを解決する具体的な方法を紹介してもらいました。

※本記事は、竹内康二著『めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法』(ワニブックス)より一部を抜粋編集したものです

行動のキッカケとしてフセンの効果は絶大

自分で行動のコントロールを行なうなら、まず最初にやるべきことは「標的行動」の定義です。

標的行動とは、たとえば、漠然と「勉強すること」ではなく、具体的に「漢字を書くこと」や「マニュアルを読むこと」というような具体的な行動のことです。

こうした標的行動を定義し、“自発を促すキッカケ”を自ら整備することで、行動を変える効果が高まると考えられています。

たとえば、翌日に郵便局で振り込みをしなければならないことを忘れないために、フセン(付箋)に「郵便局」と書いて手帳に貼っておくことや、子どもが給食費を学校に持っていくのを忘れないために、就寝前にお金の入った封筒をランドセルの横に置いておく――というようなことです。

仕事でも、絶対にやるべきことは、まずはフセンに書いて目につく所に貼っておくこと。行動のキッカケが生まれます。

▲行動のキッカケとしてフセンの効果は絶大 イメージ:ソライロ /PIXTA

スケジュールに予定を書き込んでおくことや、当日にやるべきことをフセンに書いて貼っておくのは、単に忘れないためのメモ、という機能の役割を担っているだけではありません。

スケジュールやフセンが目に入ることが、行動を始めるキッカケになるからこそ重要なのです。

フセンをキッカケにして行動が一気に促される

キッカケさえあれば始められるような活動、つまり難易度は高くないが始めにくい活動の場合には、キッカケを整備することに注力するといいです。

たとえば、「脱いだ服がそのまま放置されている」問題を解決したい場合は、服をよく放置している場所の辺りに「服はクローゼットへ!」と書いたフセンを貼っておきましょう。

脱いだ服を置こうしたときに、目につく場所にフセンを貼ることが最も重要です。フセンがキッカケになって、服を片づける行動が始発します。

▲フセンをキッカケにして行動が一気に促される イメージ:kouta / PIXTA

フセンのインパクトも重要です。

大きくて、目を引く色が良く、「服はクローゼットへ! 服が喜ぶ! やればできる!」などと、パワーフレーズを加えるのも面白いでしょう。

「自動車のオイルを交換する時期だが、そのままにしている」場合は、走行距離が表示されている所に「〇〇キロになったらオイル交換!」と書いたフセンを貼れば、それがキッカケとなります。

このように、生活のなかで自然に視界に入り、その直後に行動を起こしやすい場所にキッカケを配置できれば、その行動は促されます。