ナルシシストなキャラクターを活かした木﨑太郎のボケに、ツッコミの櫻井健一朗が冷静にツッコむ漫才で関西を中心に人気の漫才師・祇園。現在は芸歴15周年にして、初めての全国ツアー『結成15周年単独ツアー「ぎおんまつり~Thanksgiving15~」』の真っ只中だ。『M-1グランプリ』ラストイヤーとなる今年、漫才に懸ける思いは強い。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2023年7月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

M-1ラストイヤーだからツアーをやってみたかった

――この記事が掲載される頃には4都市ツアーの最中ですが、初めてやろうと思われた経緯を教えていただけますか。

櫻井健一朗(以下、櫻井)「僕たち、毎年4月に結成記念日としてライブをやらせてもらってるんです。今までNGKとルミネtheよしもとで単独をやらせてもらっていて。次どうやったらライブの規模を大きくできるかなというところから、開催地を4カ所にして全国ツアーをやってみようと。初めての経験としてチャレンジしてみようということになったんです」

木﨑太郎(以下、木﨑)「年始に今年は何をするかみたいな、ざっくりとした打ち合わせをするんです。そのなかで今年は『M-1』ラストイヤーというのもあって、1回ツアーをやってみたいという気持ちもありました」

櫻井「なので、漫才を中心に。配信は予定してないので、実際に舞台を見に来てよかったと思ってもらえるような内容にしたいですね」

木﨑「ツアー自体が初めてなので、現時点ではどういうふうになるのかがわからないんですけど、全部新ネタなので、回を重ねるごとに良くなっていくと思います。なので、最初の名古屋は荒削りなものをお見せしているかもしれないんですけど、逆にそれはそれであまり見られないものだと思って、楽しんでいただければいいなと。回を重ねるごとに内容も変わっていくと思いますし、毎回違うと感じてもらえるような内容になればいいですね」

――ネタはどうやって作られているんですか?

櫻井「舞台の出番が3~4ステあるときの合間に集まって、次の出番がくるまで二人で話し合って。で、1本1本作っていくことが多いですね」

木﨑「夜中に集まってガーッと(集中して)作るのが、僕らは苦手で。昼間の空き時間にやるのがやりやすいんですよね」

櫻井「(うなずきながら)夜中に作るのは非効率だと感じております」

木﨑「いつからそうなったんやっけ?」

櫻井「わからんけど、いろいろと試したんですよ。ひとりずつ作ってくるとか、夜中にできるまでネタ合わせするとかも、もちろんやったことはあるんですけど、試した結果、このやり方がやりやすいなってなったのが……」

木﨑「ここ5年くらいですかね。お互いが(それぞれで)作っても、お互いが(ネタのなかで)使う言葉でネタ合わせをやってみると、ちゃうかったりするんですよ、いくら想定しててもね」

櫻井「相手がどう言うかなんてわからないですし、逆に木﨑が書いてきたツッコミを、僕が言わないとかもあったりして」

木﨑「そこ、びっくりマークが2個ついてんねんけどなぁ、とかね? 『やめろ!!』って言うてほしくても」

櫻井「『(冷静に)いや、やめろ』って僕は言うから、とか」

木﨑「それやったら、最初から二人で喋りながら作ったほうが早いっていう判断ですね」

――喋りながらということですけど、文字にはするんですか? 台本がない芸人さんも多いですけど。

木﨑「メモくらいですかね。箇条書きというか」

櫻井「言わなあかんことを順番に書いてるだけですね。まぁ、面倒くさがりなだけです」

木﨑「いえ、感覚でやる天才肌です!」

櫻井「いやいや、ちゃうちゃう。誰もペンと紙を持ってきてないだけや」

木﨑「(笑)。LINEのノートっていう機能あるじゃないですか。二人が見るノートに書いておくと、すぐ見れるのでめっちゃ便利です。漫才もペーパーレス。SDGsですね」