その道にはその道のプロがいる
新しい発見もあった。
うれしいことや楽しいことよりも、悔しくて腹が立ったことや、悲しかったりネガティブな感情のほうが鮮明に覚えているのだ。イジメていた側は覚えてないけど、イジメられてた側はよく覚えているというが、まさに同じことだと思う。
芸人やってて気楽でいいね、と言われることもあったが、この歳まで売れないというのは、ある意味で世間からずっと白い目で見られていたようなものだ。
文章を書くのもネタを作るのも、俺は家の中では無理だったので、わざわざ近くのお店に行く必要があった。時間とお金を使っているのだから、この時間を無駄にしてはいけないと自分のケツを叩いて、ひたすら文章を書く。小説家が本を書くのに1週間くらい温泉宿に缶詰になると聞いたことあるが、その気持ちが少しだけわかる気がした。
そうして生み出した文章の誤字脱字や細かいところを編集さんが整え、最後の確認をする。
「このエピソード面白いので、最初にもっていきましょう」
「この表現は繰り返しなので、削ったほうが読みやすいかもしれません」
毎週のやりとりはいろいろ勉強になった。
アーティストの歌でも作詞、作曲のほかに編曲があるように、第三者が俯瞰でみて手直しするという作業がいかに大事か思い知らされた。どの道にもプロがいるように、本作りのプロたちの仕事を間近で見ることができて、勉強になったし感謝している。
今回、俺の自伝が出来上がるまで、たくさんのプロたちが動いてくれた。どんな仕上がりになるのか、今から楽しみにしてほしい。
(構成:キンマサタカ)
『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回6月30日(金)更新予定です。お楽しみに!!
プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする47歳。Twitter:@TAIGAtrendy