イヤだったら断るのが現代

人間はいい人もいれば、悪い人もいる。それはおそらく、人間性というよりは相性の問題なんだろう。どんなに優しい人でも、ちょっとしたボタンのかけ違いで、嫌な人に見えてしまう。だから、俺は人にはできるだけ、気を使って生きてきたつもりだ。

人付き合いのコツなんてないとは思うが、普段から心がけているのは人に優しくすること。思いやりを持つこと。誰にとっても感じのいい人でいようということだ。

芸能界なんて人が人を売る仕事だから。嫌な奴が売れるわけないし、売れても残っていけない。売れてる人ほど真面目で優しい人が多い。

基本的なことだが、自分がやられて嫌なことは他人にしてはいけない。

上の人から評判が良くても、嫌な奴はいるのが芸能界だ。だが、下の人から評判が良い人は、人格者が多い。

上の立場になると、自分に媚びへつらう人でも、いい奴に見えるのかもしれない。その一方で、上ばかり見ている人は、下に対して厳しいから、人の評価というのは下からの人のほうが正しい場合が多いと思う。

今は後輩や部下が、先輩や上司を選ぶ時代になっている。後輩から評判の悪い人は嫌な奴だったり、裏表があったり、人によって態度を変える。そういう人の悪評はすぐに広まる。

だから、俺も後輩には多少気を使っているつもりだ。俺たちの時代は先輩に誘われたら嫌でも行ってたし、先輩にお酌をしたり注文聞いたり機嫌とったりとそんな時代だったけど、今は違う。後輩を飲みに誘うのもとても気を使う。

「わ〜TAIGAさんから誘われちゃった。嫌だけど行かなきゃ」

なんて思われてないだろうか、というか、そもそも誘っていいのだろうかと悩んでしまうこともある。

しかし、あるとき後輩にこう言われて何かが吹っ切れた気がした。

「僕ら世代は嫌だったら平気で断れるんで、全然誘ってください!」

時代は変わったのだ。嫌だったら平気で断れる世代。羨ましいような、ちょっとさみしいような。

でも、長い目で見たら、そっちのほうがこちらも気を使わないし、健全な関係なんだと思う。それ以来、後輩を気軽に誘いやすくなった。