気づけば泣きキャラに

40歳を過ぎてから、時代の移り変わりを早く感じるようになった。自分を取り巻く環境も変わりつつあるのを感じる。

やはり、大きかったのは『アメトーーク！』の「40過ぎてバイト辞められない芸人」に出たことだ。テレビの反響はすさまじく、実際にそれまでのどのチャンスよりも反響があったし、仕事につながり始めた。

事務所のプッシュも大きい。『水曜日のダウンタウン』では事務所の先輩、カンニング竹山さんからドッキリを仕掛けられた。TBSの控え室で待っていると竹山さんから電話が入り「お前がサンミュージックをクビになることが会議で決まった」と言われた。しばらくすると、竹山さんが怒鳴りながら控室入ってくるが、何やらドデカいリュックを背負っている。あとからわかったのだが「先輩が説教してる最中に変な格好でも指摘できない説」だった。

俺はその奇妙な格好と、こんなに弱そうな人にキレられたことがなかったので思わず笑ってしまった。思わず「その格好なんですか？」と指摘してしまい、仮説立証にはならなかった。オンエアを見ると、他の芸人はみんな先輩にビビっていて、俺だけがクスクス笑っていた。

『アメトーーク！』の加地プロデューサーが手掛ける番組『テレビ千鳥』からも声がかかった。おっさん芸人応援宣言と題して、40過ぎの芸人たちが変なコスチュームを着て「面白ヒーロー」になるというものだった。

トップバッターは錦鯉の長谷川さんだったが、お母さんからのビデオメッセージが流れると、長谷川さんは感極まって涙してしまう。変な格好して泣きながら出てくるおっさんに会場は爆笑に包まれた。

二番手は俺は、ウーバーバックを背負って全身緑のタイツだったが、そこでも嫁からのVTRがサプライズで流れる。腐りかけてたときもずっと支えてくれてた嫁の気持ちを考えたら、俺も感極まって泣いてしまった。いい歳したオッサンが泣きながら変な格好して登場してくるのだから、それはさぞかしおかしかったことだろう。

関西テレビの『マルコポロリ』という、東野さんが司会の番組にも呼んでいただいた。「売れそうで売れない芸人」という枠で、俺のプレゼンターにはぺこぱがついていた。ぺこぱの二人が、俺の魅力を東野さんやひな壇の芸人に紹介してくれるが、そこでも再現VTRで俺の亡くなった父親のことが紹介され、またスタジオで涙してしまう。気づけば泣きキャラになってしまった。