2023年8月6日に横浜武道館で開幕するプロレスリング・ノアの真夏の最強決定戦『N-1 VICTORY』。参加選手が発表されたのは6月22日の後楽園ホール大会だった。この時、もっとも歓声が大きかったのが、現GHCナショナル王者イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.がスクリーンに映し出された瞬間だ。

ワグナーJr.は2019年8月に杉浦軍のメンバーとしてNOAHに初参戦。2020年4月19日にレネ・デュプリとのコンビで、丸藤正道&望月成晃からGHCタッグを奪取するも、新型コロナウイルスの世界的流行で来日できなくなって王座返上を余儀なくされた。

そこでNOAHにおけるキャリアは一度ストップしてしまったが、昨年4月30日の両国国技館で2年ぶりにNOAHに復帰。同年11・10後楽園で船木誠勝をムーンサルトプレスで撃破して、GHCナショナル王座を奪取したあたりから人気が急上昇している。

▲爽やかな色合いのスーツをまとって登場したイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

リスペクトのある日本のファンに感謝

「日本のファンがすごく支持してくれていることは感じている。最初は来日経験のある父のことを知っていて、それで息子の私のことも応援してくれるという感じだったと思うが、試合を重ねていくうちにお客さんが私自身を応援してくれるようになってきたことを実感しているんだ」とワグナーJr.は言う。

彼の父とはメキシコCMLL世界ライトヘビー級王者になり、日本では新日本プロレスでケンドー・カシンとIWGPジュニア・タッグ王者に君臨した、ドクトル・ワグナー・ジュニア(レイ・ワグナー)のことだ。

ワグナー家はプロレスの名門で、祖父は父と同じくCMLL世界ライトヘビー級王者になり、日本では全日本プロレスでドス・カラスと抗争を展開したドクトル・ワグナー。叔父は新日本で3代目ブラック・タイガーとしても活躍したシルバー・キングだし、母は全日本女子プロレス、ジャパン女子プロレスで活躍したロッシー・モレノ。母の3人の妹であるエステル、シンティア、アルダも日本で活躍している。

ファミリーが活躍した日本は、ワグナーJr.にとって憧れの国であり、生活習慣もプロレスのスタイルも違う環境にも、ごく自然に順応してきた。

▲メキシコと日本の環境の違いについて語ってくれた

「日本に初めて来た時、メキシコに比べるとすごく平和に感じた。だから、日本はリラックスできる国だし、さまざまな面で大好きだ。特に食べ物……寿司とラーメンが好きなんだ(笑)。あと焼肉も好きだけど、焼肉は日本食とは言えないのかな? 寿司が好きだから、もちろん生魚……刺身も好きだよ。

ルチャリブレ(=プロレス)に関しては、やはりスタイルの違いを感じたが、なんでも吸収してやろうという気持ちでトライして経験を積み、今ではアメリカン、メキシカン、ジャパニーズのスタイルを合わせてやっている。メキシコの人たちはルチャリブレをショーとして、ストレス発散のために見るという感覚で、野次も飛んでくるし客席も賑やかなんだ。

それはそれで好きなんだけど、日本の場合は拍手をしてくれたり、スポーツとして選手をリスペクトしてくれる。だから、日本で試合をする時には客席の反応を感じながら、ファンがウワーッとなった時は自分が勢いをつけるところだなと判断しつつ戦っている。素直に反応してくれるので戦いやすいよ」