勝つために日頃のトレーニングは欠かさない

コロナ禍によって1年5ヵ月のブランクはあったものの、初めてNOAHのリング上がってから4年。今回3度目の出場となるN-1は勝負の時。この真夏の過酷なリーグ戦に、ワグナーJr.はどう備えているのか?

▲2022年11月GHCナショナル王座は五度の防衛に成功している(2023年7月時点)

「夏はメキシコもものすごく暑くなる。メキシコシティは日本の気候と似ているから心配ないよ。空気が薄い高地のメキシコに住んでいるからスタミナは心配ないだろうって? いや、私にスタミナがあるのは常に練習しているからだ。

日本にいる時にはドージョー(道場)にも行く。1日に3~4回、トレーニングの時間を作るようにしていて、朝はウォーキング、有酸素運動から始めて、ウェイトトレーニング、ストレッチをやる。それから、ファミリーから言われているので首の運動を入念にやっている。ルチャリブレにおいて首は重要だ。ここを鍛えておかないと大きな怪我につながるからね。そして週に2~3回はレスリングの練習もしているよ」と、じつに真面目なワグナーJr.。

趣味を尋ねると「趣味は映画。毎日でも映画を見に行ければハッピーだよ。好きなのはサスペンス、歴史モノ。シリーズの巡業中は音楽を聴いたり、ネットフリックスを見ている。あとは趣味と言ったら……やっぱりトレーニングになってしまう(笑)。地方の試合でも時間があれば映画館に行くか、ジムに行ってるよ」と、あくまでも真面目な31歳の青年だ。

▲白いマスクに埋め込まれたパールがきらめく

「ファミリーは私の日本での成功をすごく喜んでくれているし、今回でN-1は3回目だから、なんとしても決勝に進んで優勝しなければいけないと思っている。そのために日々トレーニングをしているんだ。

白いマスクにかける思いとは?

初めてN-1に出場したのは初めてNOAHに来た時で、まったく経験がない状態だったが、それからさまざまな経験を積んで今回はナショナル・チャンピオンとしての参加。私の真価が問われることは十分理解している」と意気込むワグナーJr.は、今回のN-1には初めて白いマスクで臨む。

「祖父も父も叔父も、みんな白いマスクを被っていた。それがワグナー家の伝統なんだ。だから、今回はファミリーに敬意を表して、この白いマスクで臨む。祖父のマスクは縁取りと耳の部分にデザインを入れただけのシンプルな白いマスクだったが、新たな文化を取り入れていこうという意識から、父の時代からはメキシコの文明のデザインを入れたり、色をつけたりと変化してきた。

私もビッグショーではメキシカン・トリコロール(緑、白、赤の3色)、夏だとピンクを入れてみたり、機嫌が悪い時には黒にしてみたり、いろいろなマスクを被るけど、今回のN-1で被る白いマスクには、トルテカ文明のデザインを施してある」とワグナーJr.。

これまでは恐れ多くて被ることができなかったという白いマスクで参加するところに、今年のN-1に対する並々ならぬ決意が見てとれる。

▲家族の思いが詰まった“白”をまとって挑む

(取材:小佐野景浩)  


プロフィール
 
イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.
1991年12月4日生まれ。メキシコ出身。祖父はドクトル・ワグ ナー、父はドクトル・ワグナーJr.(レイ・ワグナー) 、母はロッシー・モレノという、日本でも活躍したルチャドール選手一家の出身。 父のコーチを受けて2009年12月にデビュー。キャリア初期 から父とのタッグで活躍する一方、イホ・デ・ドス・カラス との二世タッグでUWEタッグ王座を獲得するなどの実績も挙 げている。2018年に初来日し、同年8月にプロレスリング・ノアに初参戦。ヘビー級のルチャドールとして「N-1 VICTORY」に大抜擢された。2021年4月には、GHCタッグ王座を奪取(パートナーはレネ・デュプリ)、2022年11月には船木誠勝を破り、第9代GHCナショナル王者となった。