多くの大人を動かした責任
文章を書くという作業は想像以上に大変だった。自分から書きたいと言っておきながら、途中で心が折れそうになったときもあった。連載が好評だったおかげで隔週から週1のペースになり、そうなると締め切りは否応なしにやってくる。「締切は水曜まで」と言われても、こちらもそこまで暇ではないと腹が立ってきた。なぜなら日銭を稼ぐためのウーバーイーツのアルバイトがあるからだ。たまに入る芸人の仕事だって、その準備は大変だ。
「自伝にさいてる時間なんかねーよ」と思ったこともあったが、多くの大人を動かしてしまった責任もある。「締切に間に合いませんでした、テヘ」なんて言えるわけがない。移動時間や子供を寝かしつけたあと、ウーバーイーツの待機中など、気がつけば、時間を見つけて文章を書くクセがついていた。
自伝を書いて印象的だったのは、やはり自分自身の心の変化だと思う。
イジメから救ってくれた父親という偉大な存在が最初にあり、父親に親戚中の恥だと言われ落ち込み、やがて親父を見返すというモチベーションに変わっていく。そして親父が亡くなって胸にポッカリと穴が空いてしまった日々。
「TAIGAさんが一番面白かった!」「絶対に売れると思う!」そう信じ続けてくれてた今の嫁との関係だって、出会った頃からはずいぶん変わった。
そういえば、若い頃は芸能界で売れて、チヤホヤされたり、女にモテたいと思っていた。
でも、今はそんなことはまったく思わない。
ずっと信じてくれてた嫁に「君の信じてたものは間違ってなかったよ」と言ってあげたい。子供たちにお前らのパパはすごい人なんだよって見せてあげたい。オードリーをはじめ、ずっと背中を押してくれてた芸人仲間の期待に応えたい。300人の単独ライブで8枚しかチケット売れなかった時代に、満席にしてくれた友人たちに恩返しがしたい。そして、父親に見せれなかった勇姿を、せめて母親が生きてるあいだに見せてあげたい。
だから売れたい。その思いは若い頃よりずっと強い。
アメトーーク以降、仕事のオファーが増え、少しずつではあるが夢が叶ってきている。自伝が本になるという夢も叶った。
しかし、これはゴールではない。ここはスタートだ。自伝本を出したはいいけど売れなかったら元も子もない。どうやったら本が売れるか。それは俺自身がもっともっと売れていくしかないと思っている。
この本のサブタイトル「TAIGA晩成」のように、大器晩成となるよう、TAIGA47歳、まだまだ精進しますので今後とも応援していただけますよう、よろしくお願い致します!
最後に。
企画を立ち上げてくれた編集のキンマサタカさん、ワニブックスの小島一平さん、本当にありがとうございました!
ニュースクランチの連載を長らく愛読してくれた皆さん、本当にありがとうございました!
俺、売れます!
(構成:キンマサタカ)