徐々に明暗が別れた30代
この連載もそろそろ終わりに近づいている。今回は皆さんにも共感していただける話題について書いてみたいと思う。年齢について書く。
人は皆、歳をとっていく。貧乏人も金持ちも男も女もみんな歳をとっていく。若いときはあんなに翌朝が来るのが遠かったのに、最近はあっという間に1年が終わってしまう。つい最近、2023年が始まったと思ったら、もう7月だ。どうなってんだ。このまま死んでしまうんじゃなないか俺は。
サラリーマンを辞めて、この世界で成功したいと思い飛び込んだ23歳のとき、時間は無限にあると思っていた。
無駄に自信だけあった。世間知らずだし怖いもの知らずだし、手に入らないものなんかないくらいに思っていた。だから、すぐに売れるだろうと思っていた。
20代はギラギラしていたし尖ってもいた。絶対売れるしスーパースターになれると確信していた。だから、明日売れるだろうと、1日が経つのが待ち遠しかった。
だが、年齢や芸歴を重ねていくうちに、その根拠のない自信はバキバキと折られていく。20代後半になって「あれっ」と思ったが、まだまだ時間はあった。
若いうちは売れてないのは自分だけではなかった。周りの芸人仲間も誰も売れてなかったし、売れてるのは俺らより少し上の世代の先輩方だった。しかし30歳くらいになると、仲が良かった芸人たちも売れていく。あいつが売れた。あいつも売れたと徐々に明暗が別れる。
30代前半は「まだまだここからだぜ!」くらいの自信はあった。ネタを考えて、気がつけば一週間が経っていた。33歳のときに父親を亡くして、胸にポッカリと穴が空いた気がした。だが、気持ちを奮い立たせて頑張ってネタを書いた。1カ月が経っていた。