月曜日から金曜日の午前6時から9時まで、TOKYO FM及びJFN系列で放送されているラジオ番組『ONE MORNING』。「それぞれの朝に、それぞれの価値観を」がコンセプトの同番組。最新ニュースや必要な情報などを、メインパーソナリティーのユージと、アシスタントの吉田明世がエンタテイメントを取り入れながら発信している。
7月13日放送回に健康社会学者の河合薫が出演し、6月に発売した著書『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』について話した。
「肩書はいつかなくなるよ」と伝えたい
河合が出演したのは、“今”話題のトピックスをお届けする「ONE UP TOPICS」のコーナー。「明日、宮崎駿さんの最新作『君たちはどう生きるか』が公開されますが、本屋さんでは、こんなタイトルの新書が話題になっています」と吉田が『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』を紹介した。
ユージも「どう生きるかということをここ数年、すごく考えるようになったなと思うんです。世の中も劇的に変化してますし、物価も上昇してる。変化の多い時代、40歳で何者にもなれなかった人はどう生きればいいか。河合さんにアドバイスしてもらいたい」と話した。
「この番組の木曜日担当のディレクター、41歳がこの本を書店で見て、ドキッとしたらしい。僕も35、四捨五入すると40歳。やはり、いろいろ考えますよね」とユージ。さらに続けて「そもそも、この“何者にもなれない自分”というのはどういう状態を指すんですか?」と問うと、河合は「難しいところではあるんですけど、日本は圧倒的に肩書がパワーを持つ。どこの会社に入ったか、入ったら課長になった、部長になった、という人に言えるような肩書きが求められる」と説明。
さらに「今の40代は就職氷河期にあたる世代。今の50代が当たり前に手に入れられていた肩書を、手に入れられなかったまま40代に突入した人もいる世代。でも、40代には肩書はいつかなくなりますよ、ということを伝えたい。逆に50代は下手に肩書がついて、いつまでもそれを引きずってる世代。だから、余計に生きづらいこともある」と語った。
肩書は贅肉のようなもの、と話す河合。この本を発表したあと、彼女のもとには「自分のことだと思った」という感想が多く寄せられたという。「本の前半は現実を突きつけられて厳しいけど、読み進めるうち、後半ではガンガン背中を押されて、最後は“よし、頑張ろう”と思えた、という感想が多いです」と明かした。
逃げ切り世代と新世代に挟まれた40代
ユージから「河合さんは何者かになれたという実感はありますか?」と問われた河合は「それは30代から40代前半にずっと悩んでいたことなんです。社会から見て、いろいろな仕事をしているようでも、自分自身では“何者にもなれていない、私ってどこかおかしいんじゃないか”と思うくらい悩みが尽きなかった」と打ち明けた。続けて「50代を過ぎて、それも半ばに近づくと、そんなことで悩んでいたことも忘れた自分がいた」と語った。
「いわゆるバブル世代と、それ以降に社会人になった就職氷河期世代との間にはどういった違いがあるんでしょうか?」という問いには、「ひと言で言うと、無限地獄を歩かされているのが氷河期世代ですよね。彼らは体育会系最後の世代ですよ」と答え、実際に大学時代に感じた、1年は奴隷、2年は平民、3年は貴族、4年は神様、という体育会系の序列を引き合いに出し、「その1年の奴隷をずっとやってきたのが氷河期世代の人々」と話した。
その理由として「1年のツラいときを乗り越え、やっと2年になったと思ったら、下に入ってくるのはゆとり世代やZ世代の若者。そうなると全く違う価値観の人たちで、自分たちが1年時にやっていたことをさせようとすると、“それって必要ですか?”という言葉で終わってしまう」と説明すると、ユージは「本当にわかる…!」と深くうなずいていた。
「そう考えると50代は逃げ切り世代」と話す河合。「下の世代と逃げ切り世代、その狭間にいるのが今の40代。長時間労働やパワハラに耐えてきたのに、働き方改革で恩恵を受けるのは下の世代。今の状況を理解したうえで、その先にどう生きていけばいいか、というのが大事」と話した。
「ひとつだけ忘れてほしくないのは、今の40代、氷河期世代は社会や会社が変わることを期待して生きてきた。でも現実的なことを言うと、社会も会社もいい方向には向かっていくけども、大きく変わるのには時間がかかる。さらに体力も記憶も衰えていく。これは厳しい現実だけど、40代を自分で人生の後半戦と、自分で限界を決めてしまってはダメ。70、80代の人に話を聞いても、可能性を追求している人はたくさんいらっしゃるから」と強く話した。
この言葉を受けて、ユージは「今日、取り上げたなかでも、80歳を超えた方がVtuberとしてデビューってニュースがあったんですが、これも諦めてないですもんね」と話すと、「本当にそうです。年だからとか、思考停止ワードを一切やめてほしい」と答えた。
最後に、40代の世代に今日から始められるのは「愛をケチらないこと」だという。「いい人になろう、全員に好かれよう。これは無理だし、そんなことはしないでいい。ただ、誰かが称賛されていても無視したり、自分よりも前にいる人を褒めないとかはよくない。これでは結果的に自分を苦しめるし、自分の限界を決めてしまっている。愛をケチらず、“すごいね、おめでとう”と伝えることが大事」と説明した。
これには二人とも感嘆した様子。ユージは「今日、番組に来てくださってありがとうございます」と答えると、河合も「二人のおかげで勉強になるいい時間になりました」と返し、こういうことから始めるということですね、と和やかな雰囲気になった。
ONE MORNING(TFM) 楽しかった❤️
— 河合薫 (@kaorunseizin) July 13, 2023
ユージさん、吉田アナ、ありがとございました😃#ワンモ pic.twitter.com/wLeb0MNuLf