今を生きる40代は想像以上に苦しんでいる! 彼ら彼女らのなかには役職がつかないマンネンヒラ”が4割を超えるとか。誰もが気になる「役職ありなしでの賃金格差」など、健康社会学者として900人を超える働く人々へのインタビューをフィールドワークとしている河合薫氏がまとめました。

※本記事は、河合薫:​著『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか -中年以降のキャリア論-』(ワニブックスPLUS新書:刊)より一部を抜粋編集したものです。

まさかの“役職なし”4割超えの衝撃

役職と賃金の関係性などについて、連合が30年間の推移をまとめた報告書(「連合・賃金レポート2019」)を見て驚きました。

男女別に見ると、男性の部長級と課長級の合計は、1985年では53.9%と半数を超えていましたが、95年に減少に転じて98年に50%を割り込み、2003年では43.1%と18年間で10.8ポイントも昇進する機会が減少。

17年、18年は40%を割り込んでいます。

これに伴い“マンネンヒラ”の割合も増え、18年には4割超です。

各役職とも全体として高年齢化していますが、部長級だけは95年に51歳に到達して以降、ほぼ横ばいが続いています。

2018年の平均年齢は、部長級51.7歳、課長級48.3歳、係長級44.8歳です。つまり、40前半に係長にならなかった場合「マンネンヒラ、ほぼ確定!」が悲しき現実です。

▲「マンネンヒラほぼ確」は40代前半に訪れる イメージ: ノンタン / PIXTA

一方、女性が各役職に占める割合は、18年時点で部長級6.3%、課長級11.1%、係長級18.2%と決して高いとはいえないものの、急速に増えている傾向は示されています。

ただし、部長級は16年に減少に転じていますし、「女性枠はもう埋まった」という声もチラホラ聞こえてきますので、女性管理職の多くは「マンネン課長、ほぼ確定!」。あとは役職定年を待つばかりです。

昇進は「女だから」と差別したのに、役職定年は男女平等とはいささか合点がいきませんが、これも悲しき現実なのです。

意外に大きかった!? 役職による賃金格差

さて、気になる役職のありなし=賃金格差ですが、こちらもかなりシビアな結果が得られています。

厚生労働所による「賃金構造基本統計調査」(2021年)によると、とくに1000人以上規模の大企業で賃金格差が著しく大きくなっていました。

部長級/課長級と非役職の差は広がり続けているのです。

報告書では大企業で見られる役職間賃金格差は、90年代以降の新自由主義やグローバリズムの進行が影響していると指摘。

まず上場企業役員の報酬が上昇し始め、それに引きずられる形で「部長級」が上昇。「課長級」は10年遅れで上昇したものの、10年以降は小休止状態が続いています。

要するに偉い人のルールは「分配は自分たちから」。責任は下に押し付けても、手柄は自分たちが持っていくのです。

具体的な数字で見ると、非役職者の平均賃金は月27.7万円(40.7歳)、課長級は47.6万円(48.7歳)、部長級57.7万円(52.8歳)です。

ヒラと部長級とでは月収30万もの格差が存在します。

単純に年収に換算すると360万円! これはかなり大きな差です。

▲年収360万円の差はかなり大きい… イメージ:HiroS_photo / PIXTA

だって部長とヒラじゃ、仕事の質が違うし、仕方ないんじゃね?」と言われてしまうと、「まぁ、そうですよね」と返すしかないのですが、我が社の部長たちの顔を思い浮かべると……少々納得いかない人も多いのではないでしょうか。