『M-1』で大スベりしたので漫才はやらない(苦笑)

――漫才をやろうとはならなかったんですか?

西田 僕が漫才をやる気がなかったんですよ。その前に記念として『M-1』に出たら、すごいスベったんで、もう漫才やんねー!って。組んだときから、ちょっと漫才は……と伝えてました。

高野 僕もキャラクターを被ったほうが暴れられるっていう感じだったんで、ちょうどよかったですね。なんか違う自分同士がボケとツッコミしてるのが、今の僕にはしっくりこないんですよね。最近、僕らのウィキペディアができたんですけど、「『M-1』一回戦敗退」と2つ並んでます(笑)。

西田 書かないでほしいですよね(笑)。漫才ってどういう自分でやればいいのかわかんないんですよ。

高野 僕もです。あと、養成所に入る前に2年くらいフリーターをやってたんですけど、全然バイトが続けられなかったんで、飽きないために3つくらい掛け持ちして、一個一個違うキャラクターで働いてたんです。こっちは明るいけど仕事できないヤツ、こっちは仕事はできるけどまったく会話しないヤツ、みたいな。それをやってるうちに多重人格みたいになったので、その経験もコントに活きてます。

――コントができる人は演技ができるので、漫才もできるイメージでした。

西田 できないですね~。チョコプラ(チョコレートプラネット)の松尾(駿)さんが『ドリームマッチ』で粗品さんと組んだとき、「漫才無理だから」と言ってたんです。「素の自分に全然自信ないから」って。本当にそれと同じです。

高野 単純に漫才をやるのが恥ずかしいんですよ。最初のコンビで漫才やってたときも、いわゆるシステム漫才でキャラに入って設定重視の漫才をやってたんで、素の自分のまましゃべくりで、とかはできないです。でも、できないからこそ見るのはすごい好きなんで『M-1』とかを見るのは超楽しいです。漫才はファンとして、コントは仕事として見るっていう(笑)。

▲バイト先によってキャラを変えてました(笑)

素の変な部分を活かしたキャラクター

――ネタ作りは組んだときから高野さんが担当されているんですか。

高野 そうですね。お互い書いてない状態で組んだんで、俺が誘った以上、責任取るしかないなと思って。

西田 誘われたとき「組みたいならネタを書いて来て」って言いました(笑)。

高野 にしても、今思い出すとめっちゃ上からだったなと思います(笑)。ただ、最初はネタを書くのがイヤでイヤで……。

――いきなりネタを書くのは大変ですよね。

高野 最初は右も左もわからないって感じだったので、『キングオブコント』を全部見返して、設定とかボケとか書き出したりしてましたね。

西田 でも、最初に持ってきてもらったネタは僕がボケだったんで「逆のほうがよくない?」と言って別のネタを書いてきてもらいました。

高野 だけど今度は「ツッコミができない」って言われたんで、結局、初めはWボケみたいなネタをやってましたね。

西田 「なんでだよっ!」って、うまく言えなくて。素の自分でツッコむっていうのが恥ずかしくてできないんですよね。だから、生徒と先生のコントをやったときも、普通の生徒はできないから「ごめん、キャラクター入れてやりたいわ」と言って、ガリ勉っていうキャラが乗ったコントにしてもらいました。

高野 そんな感じでやっていくうちに、徐々に素に近いけどキャラが入ってるような今の形に辿り着きました。二人とも素が変なところがあるんで、そこは活かしたいなと。おもしろいっていうか変なんですよ、二人とも(笑)。

西田 素を消せって言われても消せないんで。

――たしかに、お二人がコントで演じられるキャラクターは変わったところがある人物が多いですよね。ネタを作るうえで影響を受けた人物はいますか?

高野 僕が最初に“おもしろい”って思った人はココリコの田中(直樹)さんなんです。『ココリコミラクルタイプ』が好きだったんですけど、そこでの田中さんが最高で。田中さんって普段は普通の人なのに、コントに入った瞬間の爆発力がすごくて。こんなまじめな人でも笑い取れるんだっていうのに衝撃を受けました。

西田 僕が始めに“こんな人いるの!”と思ったのはMr.ビーンでした。親が大好きで、子どもの頃からずっと見せられてたんですけど、動きとか顔とか、言葉がないのにすごいおもしろいなと思いましたね。

高野 西田は聴いてる曲とかも古いんですよ。井上陽水とか。

西田 確かに1980、90年代は好きですね。YouTubeに急におススメで出てきて、それを聴いてるうちにハマっちゃって。ジュリー(沢田研二)とか、こんなかっこいい人いるんだって。この時代のキラキラした感じ好きなんですよ。一番元気な日本じゃないですか。

――一番元気な日本って、それを体感した人が言う言葉ですけどね(笑)。

高野 たしかに、そうですよね(笑)。西田は本当にそこらへんの音楽が好きなんで、そういうのを仕事にしてくれたらいいなと勝手に思ってます。

▲通称「瞳奪い」と言われるサングラスはまとめて購入しているそう