霜降り明星やコロコロチキチキペッパーズ、ゆにばーすなど、賞レースで結果を出している芸人が多いNSC東京校16期(NSC大阪校33期)。そんな実力者たちを同期にもちながら、虎視眈々と次のスターの座を狙っている芸人も多い。なかでも、 坂田光とのぶきよによるコンビ、サンシャインは結成3年目で『キングオブコント』(以下、KOC)の準決勝に進出するなど、いち早く頭角を現していた。

しかし、同期が次々と活躍する姿に焦りを感じ、なかなか結果を出せない現状に苛立ちを覚え、次第にコンビ仲に亀裂が入るようになっていった。それでも再起を誓い、原点回帰を掲げて2月26日に有楽町シアターで単独ライブ『ハイライトサーチライト』を開催する。じつに5年ぶりとなる単独ライブを開催する経緯や意気込みを、サンシャインの二人にインタビューした。

同期が結果を出していくなかで焦りが生じた

――まずは5年前に単独ライブをやめた経緯を教えてください。

坂田 単独は結成3年目から毎年行っていました。やはり、賞レース用のネタは時間やボケ数などに縛られるため、“あまりコントの醍醐味を見せられない”と感じることも少なくなかったです。なので、単独では時間やボケ数などを気にせず、“僕たちの世界観をじっくり堪能してほしい”という思いのネタをよくやっていました。

ただ、その間に近くで見ていたシソンヌさんが2014年のKOCで優勝して、その翌年に同期のコロコロチキチキペッパーズがKOCで優勝して、どんどん周囲の人たちが結果を出すようになった、どんどん焦るようになりました。

――特に同期の優勝はしんどそうですね。

坂田 結成3年目にKOC準決勝に進出して、かなり自信を持っていました。また、そのときはルミネで単独ライブやっていた若手は、僕たちと1期上のニューヨークさんくらいで「ニューヨークを食ってやる!」くらいの気持ちでした(笑)。ただ、コロチキが優勝して「あれあれ?」となってしまい、順調だと思っていた活動の歯車が狂い始めたんですよね。

のぶきよ コロチキもシソンヌさんも賞レースから開放されて、それからは伸び伸びとネタをやっている印象だったので本当に羨ましかったです。なので、より一層“早くこの戦いの螺旋から抜け出したい……”と思うようになり、徐々にギスギスするようになりました。

▲(左から)坂田光、のぶきよ

――焦りが生じるようになってネタ作りにも変化はありましたか?

坂田 それこそ3年目の頃は「僕が好きなフレーズを160キロで言えばウケる」という感覚でした。若手だったので、そういった粗削りな部分を面白がってもらえたのですが、芸歴を重ねるとハードルがどんどん上がるように……。演技や演出、台本など細かい部分も見られるようになり、お客さんの見方もかなり変わりました。

のぶきよ 3~5年目くらいは坂田のフレーズや立ち振る舞いでウケていたのですが、それが通用しなくなりました。次第に「俺が足を引っ張っていないか?」と自分を責めるようになって、かなりしんどくなった時期でした。

――いろいろな要因が重なって単独ライブは一旦やめようと?

坂田 そうですね。何をやってもうまくいかず、コンビ仲も悪くなり、変化が必要な時期と判断してやめました。そこからは2018~2019年に100本、2022年には365本のネタを作るなど、KOCにしっかり照準を合わせた活動に切り替えました。

原点回帰としての単独ライブ

――2023年に単独ライブをやろうと思った経緯は?

坂田 決して方向性は間違ってはいなかったと思いますが、KOCも準決勝に進めない年もちらほらと。もう一つグッと上に行くために、調子の良かった若手時代の気持ちを取り戻す、原点回帰として単独ライブ開催を決断しました。

――単独ライブではKOCを意識したネタもやりますか?

坂田 特に意識していませんが、それでも「良いネタができたらKOCにぶつけたい」という思いはあります。とはいえ、今は以前のように僕たちがやりたい、見せたいネタを目指したいです。なので、全部ネタが10分以上になるかもしれません(笑)。ここ数年間は賞レースのネタを作っており「早く笑いを取るために」「どう終盤に回収するか」といったことをめちゃくちゃ気にしていたので、とにかくピリピリしていました。

――今は伸び伸びネタ作りできている?

坂田 原点回帰を軸にしているので、コンビ組みたての頃に胸の中にあった初期衝動みたいな、“やりたいことやったろう”みたいな感覚を大切にしています。ネタ作りはかなり楽しいです。

――久しぶりの単独ライブですが、怖さなどはありますか?

のぶきよ 5年ぶりということもあり、ハードルが上がっているので、どうしても怖さはあります。

坂田 今回の単独ライブ開催に対して、うちのマネージャーが結構かかってるんですよね。その結果、チケット料金が前売3000円、当日3500円ってかなりの強気。同じ会場で同期のスクールゾーンが単独ライブしたときは前売2000円なのに(笑)。「せめて2500円くらいじゃない?」と相談したのですが、「いやいやいや、ドンといきましょう」と一蹴。その後、我に返ってもう一度LINEで相談したけどやっぱりダメでした。

のぶきよ チケット料金をダイタクさんに伝えたら「3000円!? 強気過ぎない!?」って驚いていました(笑)。ただ、グッと気合が入ったので、値段以上のネタを披露したいです。