9月16~18日の3日間、インテックス大阪で開催される『KOYABU SONIC 2023』。2020年はコロナ禍で中止となったため、4年ぶりの開催だ。主催者の小籔千豊も、久々の復活にさぞかし気合も入っているだろう……と思いきや、いつも通り淡々としている。ニュースクランチでのインタビューでは、コヤソニの歴史だけでなく、彼が持つ芸人観までも掘り下げて聞いてみた。

▲小籔千豊【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

“家族孝行”でもあるコヤブソニック

――コヤブソニック、4年ぶりですよね。2014年にはビッグポルノ(小籔とレイザーラモンによるヒップホップユニット)の解散で一度終わり、2020年にはコロナ禍で中止となりましたが、二度の休止を挟んでもなおイベントを続けているあたり、「このフェスは絶対に続けていく」という小籔さんの思いを感じるのですが。

小籔千豊(以下、小籔) そんなことはないです。いつでもやめていいと思っています。

――えーっ、そうなんですか。ファンの方から「コヤソニ、続けてください」と声をかけられたという話も伺いましたが。

小籔 はい。“お客さんが喜んでくれるかもな”という思いはありますし、あと「あのアーティストのライブに行きたいけど、スケジュールが合えへんな。でも、コヤブソニックをやったら好きな人を呼んで、袖から見られるな」とか、そういう気持ちぐらいですかねえ。

――好きなアーティストのパフォーマンスを見たいという、小籔さんの欲もありつつということですね。

小籔 そうですね。あと、僕と嫁はんの音楽の趣味が昔はほとんど一緒やったんで、嫁はん孝行になってたんですよ。僕が好きな人を呼ぶってことは、イコール、嫁はんの好きな人ばっかり出るということだったので。

でも、だんだんとママ友たちの影響で他のアーティストも好きになっていって。例えば、17日に出る石崎ひゅーいさんは、嫁はんがファンクラブ入ってますので、彼女にとって大喜びのラインナップです。あと、娘が一番好きなアーティストは、18日に出るちゃんみなちゃんなんです。だから、今回は娘もめっちゃ喜んでます。

▲すべては小籔が「レイザー」と呼ぶレイザーラモンと話したことから始まった

――先ほど「コヤソニはいつでもやめるぐらいの気持ちがある」と伺いましたが、多忙のなかでフェスを続ける理由を教えていただけますか?

小籔 僕が新喜劇の下っ端でセリフがないとき、それ以前は漫才師(「ビリジアン」というコンビで活動していた)だったから単独イベントを毎月やったり、ラジオのレギュラーが2~3本あったので、今振り返ると思ったことをしゃべる機会に恵まれてたんですね。

でも、コンビを解散して新喜劇に入ったら、セリフは「ありがとう」の1語だけ、それで舞台に1週間も行かなあかんかったんですよ。それが1年ぐらい続いて「こんなにも、世に訴えたり、しゃべることができへんねや」って。それで、レイザーラモンの二人とメシ食ったときに「もう、口湧いてきたからイベントするわ。そこで発散せな、気狂うわ」って言うたら、彼らも「一緒にやらせてください」って言うから、「ほんなら、三人でやろうか」って。

そのときに、僕は「お年寄りから子どもまで好かれる新喜劇とは真逆の、年寄りや子どもが嫌がりそうなエグいイベントやりたいねん。せやないと、心のバランス取られへん」と。『子猫物語』みたいな映画ばっかりやったから、タランティーノを見たなる、みたいな(笑)。それで「なんとかポルノ」というタイトルをつけようと。

――だから「ビッグポルノ」という、ちょっと偽悪的なユニット名をつけたんですか。

小籔 そうです。それは「新喜劇とは違うやつをやりますよ」とわかりやすくするために。あと、自分はコンビも解散したので、“今の俺には商品価値がないやろうな”と、自分で調べて5万円で借りられるキャパ100人くらいの小屋を見つけてきたんです。で、人件費もかかるやろうから、進行役ができる女の子に「舞台監督みたいなんできる?」って頼んで。

そうやって用意して、会社に「むちゃくちゃ安い劇場を探してきたし、経費ほぼ使わんのでやらせてください」って言いに行ったら、そのときの社員がごっつナメた態度で「いや、(客席が)埋まらんやろ。まあ、赤字じゃなかったらええけど」って言われたんですよ。こっちはいろいろ用意して、へりくだってお願いしてんのに、「会社が損をせえへんかったら別にええねんけど」と言われて、めっちゃ腹立って。

そんで、その社員との話が終わったあと、レイザーラモンの二人に「お前ら、今バイトしてるやろ? 将来、絶対やめろ。俺もバイトやってるけど、絶対やめるわ。この三人でいつか1000人の前でやるからな!」って僕は息巻いてたんですけど、あいつらはずっと下っ端やったから「小籔さんは何をこんな怒ってるんやろ?」って。

――レイザーラモンのお二人にとっては、いつものことだった(笑)。

小籔 はい(笑)。でも、僕からしたら“こんな屈辱的なことはないわ”と思って。だから、新喜劇よりビッグポルノに必死やったんですよ。「この三人で絶対、金持ちになるぞ!」と思って活動してたとき、ひょんなことから下ネタラップを作ることになったんですね。

そしたら、コントとかの時間を削って音楽の尺が増えていって、音楽イベントみたいになってきたんです。だから“よそで出してくれるとこ、ないんかな?”と思ってたら、セブンイレブンにアーティストがいっぱい出てるポスターが貼ってあって。「『サマーソニック』? ふ~ん、出れるんかな」と思ってお願いしたら、「無理」って断られて。

――ビッグポルノでサマソニに出ようとして断られたんですか。

小籔 はい。で、「なんや、サマソニって。しょうもないのう! 横で『コヤソニ』やって潰したろかい」と言ったら、RGが「できるんちゃいます?」って、本当にコヤブソニックを作ることになったんです。だから、最初のコヤソニを大阪城野音でやって、3000人の前で“金玉の歌”を歌ったとき、僕はちょっと涙目になったんです。