しばらくは己との戦いが続きそうです

――台本を読んで、どのような印象を受けましたか? どういったところが今作の見どころになるでしょう?

久保 見どころは、やはり殺陣だと思います。本を読んだだけでも迫力があったんですよ。それが実際に舞台上で行なわれるとなると、ものすごい迫力になると思います!

――製作発表では演出のいのうえひでのりさんも「いろんな趣向を凝らしたチャンバラをお見せできると思う」とおっしゃっていましたよね。

久保 そうなんです。私は殺陣のシーンはそんなにないんですけど、皆さんの殺陣を見られるのがとても楽しみ! それこそ山本さんの立ち回りを見られると思うと「こんなに近くで見ちゃっていいんですか!?」と今から一ファンみたいな気持ちになっています(笑)。

山本 台本を読んでみて、確かに立ち回りのシーンは多いですね。早乙女兄弟からは「ちーちゃんも立ち回り多いよね」ってプレッシャーをかけられています(笑)。私をキャスティングしてくださったということは、きっと中国武術やアクションを期待されているという意味もあると思うので、一生懸命頑張りたいと思っています。そして、久保さんの歌も見どころです。私も一ファンとして楽しみにしていますね!

久保 わ! 頑張ります!

 

――久保さんは「神降ろしのみさき」、山本さんは「早風のいぶき」を演じます。それぞれ、どのように演じていきたいと考えていますか?

久保 みさきは歌って踊る巫女なので、自分の普段の活動であるアイドルに近い役柄ではあります。ただ、そこに新感線さんの色が加わるので、いつもの自分とは違う自分をお見せできたらと思っています。

作品全体として見たとき、みさきは1人だけ毛色の違う存在だと思っていて。なので演じるに当たって、皆さんに乗っかるというよりも、皆さんとは違ったアプローチをしなきゃいけない役だと昨日の本読みで感じました。しばらくは己との戦いが続きそうだなと思っているところです。

 

山本 えー、1人だけで戦わないで!? 一緒に戦おう!

久保 わぁ、お優しい! 涙が出そうです……!

山本 仲間に入れて! 邪魔なら邪魔って言ってくれていいから(笑)。

久保 いやいやいや! 皆さんの力もお借りしながら、殻を破って、みさきという人物をステキに磨き上げたいと思っています。

山本 物語の紅一点のようなみさきに対して、いぶきは対照的な存在だと思います。いぶきの「心優しくも気の強い男勝りな女性」みたいな役柄を、中島(かずき)さんが書いてくださいました。ただ、これからの稽古でまたどんどん変わっていくと思うので、どんなアレンジが加わっていくのかが楽しみです。

 

――お互いの役柄に対する印象はいかがですか?

山本 みさきは、出てくるだけで華がある役柄。でも、意外と登場人物の中で一番怖いのはみさきなんじゃないかな? 悪気のない天真爛漫さを持っていたり、女性の鋭さみたいなものがある気がします。

久保 いぶきは、みさきから見ると自分にないものを持っている人物なので、尊敬や憧れの対象です。常にかっこいい存在として、みさきの目には映っています。

山本 みさきといぶきのシーンも結構あるんですけど、温かいシーンが多いんですよ。

久保 そうですね。みさきは巫女なので「祈る」という行動がポイントになっていて、いぶきに対して祈るシーンもあります。昨日、本読みをしながら、いぶきへの祈りは温かくて愛情深いものがあるなぁと感じました。

山本 私たちはバチバチしないので、温かい雰囲気を稽古じゃないときから作っていけたらいいなと思っています。