2021年に乃木坂46を卒業後、『農家のミカタ』(テレビ東京系)や『花嫁未満エスケープ』(テレビ東京系)、映画『ずっと独身でいるつもり?』など、多岐にわたる活躍を見せてきた松村沙友理。そんな彼女が映画『東京ワイン会ピープル』以来となる映画主演を務めた『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』が5月12日に公開される。

昨年10月より放送された『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(朝日放送テレビ)で、舞菜のトップオタ・えりぴよを演じた松村。アイドル経験者の松村がアイドルのファンを演じるという構図の面白さが大きな反響を呼んだ。劇場版はドラマのその後のストーリーがオリジナルで描かれる。

アイドルファンのえりぴよという役を通して、松村は何を感じ、何を思ったのか。インタビューでは役作りについてや彼女が今推しているもの、乃木坂46を卒業して思うことなど、さまざまな角度から語ってもらった。

アイドルを経験したからこそ作品に共感できた

――『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』は、ドラマに続くオリジナルストーリーとして描かれました。改めて松村さんにとってどのような作品になりましたか?

松村「お話をいただいたときは、すでに乃木坂46を卒業したあとだったのですが、自分の人生にとってアイドルは縁が深い存在なんだなと感じました。私の芸能生活もアイドルから始まったので、アイドルの尊さを改めて感じることができたので、私にとって転機となった作品でしたね。『推し武道』はもともと好きな作品でしたし、何よりも大切に作りたいという気持ちが大きかったので、一生懸命に演じさせていただきました」

――原作も大好きで読まれていたとのことですが、本作に出演されてみていかがですか?

松村「えりぴよを演じていて、推すことの楽しさというか、一生懸命さみたいな部分を改めて感じましたし、映画では、舞菜は自分がアイドルとして、どう活動していけばいいのかについて苦悩もしっかりと描かれていて、その辺りは実際に作品に携わっていて、より深く感じられました。それは私がかつてアイドルだったという部分が大きいかなと思っていて。10年間近くずっとアイドルだったので、それぞれのアイドルちゃんの苦悩がわかりますし、こういうことで悩んでいる子もいるんだろうなと共感できました」

――周りの反響も大きかったのではないでしょうか?

松村「乃木坂46時代から応援してくれているファンの方がすごい喜んでくれました。“グループ時代にさゆりんごを推していたときの気持ちが蘇る”と言ってくださる方がとても多くて。なによりもアイドルだった自分のことを知らなかった方が、この作品を通してアイドルの魅力に気づいてくれたのがうれしかったです」

――今回はアイドル経験者でもある松村さんがアイドルを推す側を演じられましたが、違う視点から見て新たな発見はありましたか?

松村「たくさんありましたね。ファンサがこんなにうれしいんだとか、誰かを推す行為ってこんなに尊いものなんだとか、いろんな発見があって新鮮でした。今までは推されることの楽しさや喜びをずっと感じて生きてきたけど、これからは推す側もやってみたいなと思いましたね」

――どのような役作りを行ったのでしょうか?

松村「役作りと言えるのかはわからないのですが、撮影のときだけではなく、撮影の合間も常に舞菜のことばかり見るようにしていました。そしたら途中で舞菜役の伊礼(姫奈)さんから“ずっと見られて恥ずかしいです”と言われてしまって(笑)。それはもう怖いぐらいだったんじゃないかな……。でも今思うと、えりぴよを演じるという意味では、その心がけはよかったのかなと思います。あとは細かいところで言うと、えりぴよはガサツな部分があるので、普段の生活から椅子の座り方とかも変えていました。足を開いて座るとか、ちょっと雑に歩いてみるとか」

――そういった意味では、えりぴよの役にはすんなり入れたんですね。

松村「そうですね。あとは共演したジャンボ(たかお)さんと豊田(裕大)さんの存在も大きかったなと思います。お二人とも漫画から出てきたと思ってしまうくらい役に忠実なので、一緒に撮影していくなかで自分が自然とえりぴよになっていくのを感じましたね」

――えりぴよの共通点というと何かありましたか?

松村「えりぴよは舞菜の良さを周りに布教するために活動している部分もあると思うのですが、私も推しの良さは全人類が知るべきだと考えてしまうタイプなので、そこは似ていたなと思います」