今につながる109店員時代のギャルマインド
――なつこさんの“好き”はなんですか?
なつこ 音楽とファッションが好きです。若い頃は特にギャルに憧れていました。
――それはなぜですか?
なつこ それこそ理由もなく好きで憧れを抱いていたものですが、今思えば「制服という決められた服装で自分自身を表現する文化」に憧れを抱いていたのかなと思います。指定された制服をそのまま着るとダサいけど、ギャルはスカートを短くしたり、リボンの柄で個性を出したり、デッカいストラップをジャラつかせたり、ギャルという枠のなかで個々をアピールしていました。ギャルとは、いかにダサくならないか、かっこいい自分でいられるかをストイックに追求していく文化なんです。
私自身のことを言えば、ギャルのファッションやメイクをすることで、自分自身を肯定できて、マインド的にも前向きになれていたのかなと思いますね。だから、ギャルになってSHIBUYA109で働いていたときは、すごく楽しかったです!
――ギャルの聖地、109の店員さんだったんですか?
なつこ はい。音大卒業後にアパレルブランドのショップ店員として働いていました。めちゃくちゃ薄給なのに、仕事内容はしんどいのがショップ店員。15cmとかのヒールで8時間立ちっぱなしは当たり前な話ですが、上下関係も厳しく、休憩時間以外に水を飲むのもダメ、化粧直しもダメでした。ギャルたるもの、絶対に崩れない化粧、体型維持を徹底、ヒールは脱ぐな! みたいな(笑)。私はやらなかったけど、先輩は耐えきれずトイレの水を飲んでました。
バックヤードはマジでヤバい。ご購入を決めたお客様に新品在庫をお持ちするのですが、天井高4メートルほどの長細い空間に在庫が空高く積み上げられていて、今にもぶっ壊れそうな超不安定なハシゴに登って、在庫をピックアップするんです。こちとら15cmのヒールで登ってるので、踏み外したら終わりです。お客様をお待たせしている焦りと、持ち前の運動神経の悪さで何度か転び、いまだに足の一部は凹んでますよ。
――華やかな世界の裏側、壮絶ですね。
なつこ 当時の109は流行の中心だし、若者の活気あふれる環境で、しんどいこともめちゃくちゃ多かったけど、ある意味、根性を鍛えられた、私にはなくてはならない体験でした。大切な商品をかわいく見せるためには自分が似合ってないといけないし、体型維持や美容、接客内容――自分の出せる最大限のパフォーマンスをすることを当たり前にさせてくれた、109での経験が今に生きていると思います。
――「子どもがいて服を試着できないママへ」といったファッションに関する投稿も好評で、楽天のROOM OF THE YEAR 2022 ファッション部門を受賞されましたね。
なつこ 産後、ツラすぎる育児に心も体もズダボロだったとき、追い打ちをかけたのは体重が戻らず着たい服が着られなくなったことでした。私にとって、着たい服を着るのは生きるモチベーションだったので、子どもを産んだことで、自分が自分じゃなくなったみたいで悲しかった。授乳も抱っこ紐もなくなり、自分の好きな服が着られることが今、とてもうれしいです。
私にとってのファッションとは、年齢や立場に引っ張られない、自分がワクワクする服を着ること! 家の鍵しか入らないような小っせーバッグは、物を入れるためにこの世に生まれてきたわけではありません。私の機嫌をよくするために生まれてきたのです! そんな感覚を忘れずにいたいなと思います。
忙しいからこそ自分らしく過ごすために
――最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
なつこ 発信活動を始めてからしばらくは、Instagramでたくさんの方にフォローしていただき、微力ながら誰かのお役に立てているのがうれしくて、がむしゃらに発信をしてきました。この本に載せたDIYはその最たるもので、忙しい毎日だからこそ、少しでもラクをしてほしい、自分好みのDIYで暮らしやすく、毎日ご機嫌に過ごしてほしい、そんな思いを込めてご紹介したものばかりです。
たとえば「運べる収納」は、子どものお片付け問題に頭を悩ましているママさんの気持ちを軽くすることができるかも。皆さんがなりたい自分になれますように――そんな手助けができたら、とてもうれしいです。
この3年で情報発信をする人がとてつもなく増え、情報自体に価値はないとまで言われる時代となりました。そんななかで情報発信という枠を超えた、私にしかできないことを模索し続け、自分の中で次に進むべき道が確実に見えてきています。年明けから、新しいプロジェクトをスタートさせます! これまでより、もっともっと皆さんの人生に寄り添い、一緒に楽しみながら、豊かになっていけたらと、そんな思いでいっぱいです! 楽しみにしていてくださいね。