X(旧Twitter)を中心としたSNSに、文字制限である140字以内で完結する超短編小説を投稿し、20万以上もの「いいね!」を続々と叩き出す話題のアカウントの生みの親、作家・方丈海氏。
140字という制限があるなかで、恐怖・笑い・感動・涙、そしてドンデン返しありの“意外な展開&オチ”が最大の魅力! 大人も子どももハマること間違いなしの新しい“ショートショート”をご堪能ください。
※本記事は、方丈海:著『#140字小説2 「1話30秒」の意味が分かるとゾクッとする話』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
両手いっぱいに10円玉を持った男の子
「かーねーしょんください!」
男の子はヒマワリみたいな笑顔で俺にそう言った。
両手の上にはたくさんの10円玉がある。
しかし、それでは1輪しか買えない。
だが、金額なんて些末なことだ。
伝わるべきことがしっかりと伝われば、世の中はそれでいいのだ。
だから俺はこう伝えた。
「坊主。ウチは八百屋なんだ」
そろそろ免許返納するかな
「俺も、もう歳だ。そろそろ免許返納するかな」
「あなた…」
「その前に…最後のドライブに行かないか?」
「プロポーズも、車の中でしてくれたわね」
「覚えてたのか」
「当然よ」
ドライブを終え、家に戻ると、夫はしばらく運転席を離れなかった。
そして「楽しかったなぁ…」と呟き、車を降りた。
家に帰ってからやってくれ
レジでバイトしてると、お手本のような恋人つなぎをしてるカップルが来た。
会計のときですら、二人は手を放さない。
彼氏が財布を取り出し、彼女が紙幣を抜き取ってあげる共同作業。
ここはホームセンターだが、そういうのはホームに帰ってからやれ。
イラつきながら商品を確認すると、接着剤を剥がす液だった。
寝不足でウトウトしていると…
恐ろしい体験をした。
日頃の寝不足もあり、ウトウトしていると、氷のように冷たい手に足首を掴まれたんだ。
「うおっ!?」
びっくりして起きたが、当然、誰もいない。
気味が悪いんで俺は急いで風呂場を出て毛布にくるまった。
後で思ったんだが、湯舟で寝る俺を、奴は助けてくれたのかもしれない。
手を握っていた二人の女の子
ゴーストタウンを探索していると道端に2体の古いご遺体があった。
服装からして二人とも女の子か。二人は手を固く握り合っていた。
おそらく目の前のビルから飛び降りての心中だろう。
こんな世の中だ、珍しくもない。よく見ると二人は手をつないでいなかった。
片方が片方の手首を、固く固く握っていた。
★お知らせ★
— 【140字小説】方丈 海@書籍発売中 (@HOJO_Kai) October 21, 2023
「# 140字小説 2」の発売を記念し、ワニブックスさんから「第2回 140字小説方丈杯」を開催していただくことになりました✨
【応募方法】
このポストの引用コメントにて140字小説作品を記載
【締切】
11/30(木)
詳細は添付画像の2枚目をご参照ください😊
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