いま、新しい“ショートショート”として、ツイッターの文字制限である140字以内で完結する「140字小説」というジャンルが流行しているのをご存じですか? なかでも、20万以上もの「いいね!」を続々と叩き出す話題のアカウントの生みの親こそ、作家・方丈海氏――。
意外な展開&オチが最大の魅力で、ショートショートはもちろん、ミステリーや「人怖(ヒトコワ)」好きなら、ハマること間違いなし! そんな「140字小説」の魅力と、職業作家として活動する方丈氏に迫ります。
チャイムに出ると、警察が立っていた。 「あなたの旧友である高橋さんが、先日の同窓会の後、殺害されました」 僕は驚愕した。 「そこで、当日の様子をあなたからもお伺いしたく…」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「はい」 「同窓会があったんですか…?」
— ■140字以内の小説■方丈 海 (@HOJO_Kai) December 3, 2022
2020年に活動開始、総作品数はなんと438作品に!
――普段どんな活動をされていますか? 簡単に自己紹介をお願いします。ぜひ「方丈海」というペンネームの由来についても、お教えください!
方丈 今は定職についておらず、作家業に専念しています。普段は、ツイッターを筆頭とした各種SNSに140字小説を投稿するかたわら、次の出版も視野にいれつつ、140字以上の小説作品も短編から長編まで執筆しています。それらを、クリエイター支援型のサブスクサービスに格納しています。作家としてのいろいろな発信手段を模索中のため、活動内容は今までも変化してきましたし、これからも変わるかもしれません。
ペンネームの由来は、まず、覚えやすく印象に残りやすい名前がいいな、という考えに始まりました。そのためには、読み方がわかりやすく、スッキリした字面にしたかったのです。そんなことを考えながら、天井を眺めていると、四角かったので、この名前にしました。海は、単純に海が好きだったからです。
――ツイッターに小説を投稿し始めたのはいつからですか? 現在の総作品数についてもお教えいただけますでしょうか。
方丈 2020年の7月からです。方丈海というアカウントは、140字小説を投稿するために作成したので、アカウント作成時期と同じです。
2023年1月現在、総作品数は438作品でした。基本的に、新作投稿の日と、過去作の再投稿の日の交互なので、新作は2日に1作、日々増えています。いつまで続けるかはいまのところ未定ですが、できる限り長く続けたいです。
作家としては「ほぼゼロ」からのスタート!?
――お仕事を辞めて作家を目指したとき、誰かに相談されましたか? もちろんご不安もあったかと思いますが、仕事を続けながら作家活動するという方法を取らなかったのはなぜでしょう?
方丈 誰にも相談せず、個人の判断でひっそりと退職しました。親族や知人友人には、事後報告です。退職時はまだアマチュアで、フォロワーさんも数百人で、手持ちの作品も少なく、作家としてはほぼゼロからのスタートでした。
執筆とは無関係に、転職しようかなという考えがありました。その際に、どうせなら、貯金の一部を使って1年くらいの自由を確保し、やりたかったことに思い切り全力投球してみたい、という願望が強く芽生え、期間限定で作家活動に専念しようと思いました。もともと、お金をあまり使わない性質だったので、そのとき最も魅力的に見えたお金の使い道が、自由の購入だったのです。
それに、仕事を再開しても作家活動は続けるつもりだったので、この1年で築いたネット上の環境と執筆の経験値、蓄積させた作品は、これから先も活き続ける、という自己投資的な感覚でもありました。
最初は1年のつもりでしたが、さまざまなご縁とご厚意に恵まれ、延命に延命を重ね、現時点で仕事を辞めて2年が経ちました。商業出版を果たした今でも、生活の安定が先なのか、それとも予算が尽きて仕事を再開するのか、そのせめぎ合いの最中にいます。