結成3年での『キングオブコント(以下KOC)』決勝進出から実力派コント師として知られるラブレターズが今年12月、1年ぶりの単独ライブを開催する。今年、同大会で7年ぶりの決勝進出を果たしたほか、『ラヴィット!』で企画された「耳心地いい-1グランプリ」準優勝でも話題となり、再び注目を集めている。
KOC決勝に進めなかった7年間を「同じ場所にいると思っていた」と語る彼らだが、塚本直毅は脚本担当や舞台出演、溜口佑太朗は舞台出演や『スーパーディナーショー』開催など各々が力を蓄えてきた。今年再びの決勝を終えて迎える単独ライブでは、どんなコントが見られるのだろうか。
※本記事は『+act.(プラスアクト)2023年12月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。
結婚してからネタの内容に変化が…!?
――今年は『KOC』決勝進出はもちろんのこと、「耳心地いい-1グランプリ」でも準優勝されましたよね。
塚本直毅(以下、塚本) あれはたまたまというかね?(笑)
溜口佑太朗(以下、溜口) 巡り合わせだよね。自分たちに自信を持てなかったこれまでだったんですけど、あの辺りでどんどん自信を取り戻させてもらえというか。
塚本 『KOC』準決勝前に「耳心地~」があったのもよかったのかもしれないですけど……いやぁ、わからないもんですね。
溜口 決勝でゆんぼだんぷさんと戦うなんて、想像もできない。どういう人生だよ、これ。不思議ですね。『KOC』も4度目の決勝って言ってもね?
塚本 7年空きましたから。過去3回出たぶんでギリギリ生き延びてきた感じというか、粘り過ぎだったから、この辺で決勝へ行っておかないとっていう思いもありました。この7年で、今まで応援してくれてたお客さんが学生から就職して、結婚することになりましたって、旦那をライブに連れて来てくれたりして。あぁ、我々はずーっと同じ場所にいるなって思っていたので。
溜口 だから、あっぶねぇ!って。まだ(芸人として)生きていけるって感じですね。
――12月に単独ライブが開催されますが、賞レースとは関係なく新ネタを下ろす場としている感じですか?
塚本 そうですね。以前はそんな感じでやっちゃってたんですけど、ここ2回くらいは“腰を据えて(コントを)続けていきましょう”っていう気持ちを込めてやり始めた感覚はあります。
溜口 二人とも結婚したり、塚本さんは赤ちゃんができたりして人生がのっかってる感じがあるというか。その前から挫折が続いて負け続けてきた人生だったから、そこからどうやって這い上がろうかとか考えていたりもしたので、ちょっとだけ等身大の自分たちになったというのはありますね。
――となると、新たに生まれるネタもそれまでとは変わってきそうですね。
塚本 今まで作っていたのは学生ネタとかコントらしい設定だったんですけど、結婚して子どもができてから、相方に「(書き上げるものが)親子のネタばっかじゃん」って言われてハッとしちゃって(笑)。
溜口 あははは! そういうネタが多い時期があったんで「そこまで人生をのっけなくてもいいよ?」と言ったんです。もっとポップなネタもやりたいし、赤ちゃんが産まれたのはそっちだけだし、まだまだ学生コントもできると思うし……みたいな。自分の周りの出来事に影響されやすいんですよね、塚本さんって。デビュー当時もそうで、完成したネタの台本を読んだら、ずっと憧れてたバナナマンさんに影響されてて。「これ、バナナマンさんのDVDで見たよ?」と言ったんですよ。
塚本 そのときは「あぁ、そうだったか。ごめんごめん!」ってなりましたね。
――台本は塚本さんが書かれているとのことですが、そのときの思考が反映されているんですね。
溜口 そうです。こんなことで悩んでるんだなとか、今ラップをすごく聴いてるんだなとか。そのとき聴いてる音楽も全部ネタに入ってくるんで。
塚本 あぁ、そんなにバレてるんだ? 恥ずかしいね。
溜口 いやいや。そりゃあ14年もずっと一緒にいたら、だいたいわかりますよ。
塚本 今回の単独のネタは今、溜めてるというか。いつも箇条書きからスタートするので、まだまとまってないんですけど、いくつかはちょこちょこ書き始めてます……親子はある! 子を持つ親同士とか難しい話を要求するかもしれない。保育園事情とかね。ごめん!
溜口 え? ……そうか。まぁまぁ、やりたいならしょうがないよね。
――(笑)。先ほど等身大の自分たちになってきたとお話しされていましたが、まさにタイトルが等身大ですよね。
溜口 今の僕らの年齢なんでね。コント師で等身大を映している人は意外といないのかな、と思ったりもして。僕らを知ったうえで、より楽しめて、もちろん知らなくても楽しめる単独になればいいなっていうのもありました。
塚本 いいタイトルですよね。いつも溜口さんが考えてくれるんですよ。
溜口 ほかにも候補はあったんです。よくある迷惑メールから“当選おめでとうございます!”みたいなニュアンスで、間違えてクリックしちゃうようなタイトルにしようかという案も出てたんですけど、会社から止められました(笑)。タイトルをつけたのは準決勝前なんですけど、逃げも隠れもできない状況に自分たちを追い込まないとっていうのもありますし、“あの年から変わったね”と思ってもらえるようなものにもしたかったんです。これを読んでる方々、僕らそうなってますよね? どうですか、皆さん!
塚本 僕らに対して、そう思ってもらえてますよね?