賞レースと単独のネタの作り方

――本記事が出るころには決勝がすでに終わっているので、読んでくださってる方々が大きく頷いてくれるような未来になっていることを祈りつつ(インタビューは10月上旬)。単独のネタと賞レースのネタは分けて考えていますか?

塚本 以前は単独で賞レースっぽいネタがたくさん作れたらいいなと思っていたんですけど、決勝に行けなかった7年間でそういうものでもないなと。賞レースを意識して考え過ぎると単独自体が行き詰まってしまうし。好きなネタをやりたいと思って自由に考えるようになりました。

溜口 いい意味で、賞レースとは分けて考えてるよね。

塚本 もし、いいネタができて、それが賞レース化できるならいいかなくらいの感覚です。

――この7年間で、ネタの題材として結婚や保育園事情が反映されるようになったとのことですが、表現や見せ方の面での変化はありましたか。

溜口 どうかな? ちょっと思うのは顔で笑かそうとするようになったというか、表情だったりで面白さを出すとかは、最近になって意識するようになったかもしれないです。コントの見せ方で言うと、差が出るのは顔とか、ほんの細かい仕草とかで。そういう“別に力を入れなくてもいいだろう”っていうところに、力を入れるようになったかなって感じはします。

塚本 あぁ、確かにそうだね。

溜口 ドアを開くにしてもガチャでいいのに、ちょっと捻ってみてバウンドさせたりとか、コントの深みが出たりネタが面白くなったりするならやりたいなと。そういう動きって意外と遠くからでも見えてるみたいなので、やっておいたほうがいいなと思ったんです。

塚本 僕は……おじさん化してることが、だんだんと板につく期間でもあった7年だったので、おじさんが板についた自信が多少出てきたのかなって。あと、ほかの舞台を経験して気持ち的に余裕が出てきたというか、コントをどっしりとできるようになったのかもしれないです。

溜口 スベってもいいやってなったし。それまではスベらないようにしないといけないっていう気持ちが強かったけど。

塚本 あぁ、確かにそれはある。スベるわけにはいかないと思ってました。

溜口 今はスベってもいいっていう余裕から変なこともできるようになりましたね。この前の単独では、舞台上で相方がバリカンで坊主にしたりとか。

塚本 ネタの一環ですけど(笑)。

溜口 そんな感じで、怖いものがなくなってきたのかもしれないです。

ラブレターズさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2023年12月号』に全文掲載されています。