不測の事態で会話が途切れることはよくありませんか? 一度切れてしまうと、なんだか話す側も聞く側も「どうすればいいんだろう?」と微妙な雰囲気が流れてしまうことも……。そんなとき、気の利いた一言で場をうまくつなぎ直せると、相手との信頼感はぐっと高まります。そんな“魔法の言葉”をコミュニケーションコンサルタントの吉原珠央氏がお教えします。

※本記事は、吉原珠央:著『シンプルだからうまくいく 会話のデザイン』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

促しに相手への敬意の念が表れる

相手との話に熱が入り、「さあここからが面白くなるところだ!」と意気込んだ瞬間に、「ご注文はお決まりですか」「お待たせしました。ハンバーグのお客さまはどちらですか?」などと、大きな声でお店の人に割り込まれたことはありませんか。

このほかにも、第三者に話を中断されるという状況は、往々にしてあります。誰かと話しているときに電話がかかってきたり、大きな虫が飛んできて悲鳴と共に話が中断されたり、未就学児の子連れのママ友たちと会話していると、誰かの子どもがぐずりはじめたり、飲み物をこぼしたりなど……話が中断されたまま、その話題が戻ることがないということも珍しくありません。

以前、レストランで友人と食事をしていたら、「ハッピバースデートゥーユー」と、暗くなった店内で、数人の店員さんが歌いながら、別のテーブルのゲストを盛大にお祝いするというシーンがあり、しばらく自分たちのテーブルで会話ができなかったということもありました。

そんなとき、状況が落ち着くとすぐ、話の途中だった私に「珠央さん、それで、それで」「ごめんね! 続きを教えて」などと、言ってくれる人がいて、そうした心遣いに、とても感激した経験がありました。

私自身も同様の状況で、途切れてしまった相手の話が再開できるタイミングでは、必ずと言っていいほど(徹底して)、「それで、それで?」と、続きを促すようにしています。それは、礼儀や思いやりであるとともに、相手との会話をどれだけ真剣に聞き、内容を理解しようとしていたかの表れでもあると、私は感じているからです。

▲促しに相手への敬意の念が表れる イメージ:Graphs / PIXTA

ところが、話し手の話が、なんらかの理由で中断されたというのに、その後、聞き手が、それまでの話の続きを促さないとか、話題を変えるとすれば、その聞き手は、話への関心も、話し手への敬意もない人だと思わざるを得ません。

私たちは、常に会話に集中できる完璧な状況下にいられるわけではありません。前述のような突発的な出来事もあれば、リモート会議では電波の環境などにより、画面が突如としてフリーズしてしまい、音声が聞こえなくなってしまうなど、あらゆるハプニングが想定できます。

そうしたとき、中断された時間と、中断される直前の時間を、気の利いた一言で、うまくつなぎ直せる人がいてくれると、頼もしく感じられて安心します。そういう人とは、なぜか会話の馬が合うことがほとんどです。

限られた時間で前向きなメッセージを伝える

このように、中断された会話を素早く修復するという場面のほか、仮に、偶然にも駅のホームで、ばったり知人に会うという場面を考えてみましょう。

会話のなかで「そういえば、私、先月に転職したの」と相手が話し始めてすぐに、お互いが待っていた電車がホームに到着し、行き先が異なる電車に、それぞれが乗車しなくてはいけない時間となってしまいました。

そのようなときには、別れ際に「そうだったの。心機一転、転職先でも頑張ってね。また今度、話を聞かせてね!」と、ほんの数秒のメッセージを伝えられたら、きっと相手はあなたのエールを受け止めて、前向きな気分になれるのではないでしょうか。

▲限られた時間で前向きなメッセージを伝える  イメージ: buritora / PIXTA

このように、会話というのはその最中のみならず、話が中断してからの再開や、時間が限られた、別れ際にも相手を気遣うシンプルな一言の工夫によって、お互いに心を和ませることができるのです。

といっても、難しく考える必要はありません。もし、会話が中断して、再開できたら「続きを教えてください」「今は時間が足りなくて残念! ぜひ、今度じっくりと聞かせてね」などと、伝えるだけでよいのですから。

そして、別れ際には「無理しないで、がんばってね」「お元気でね」「お大事にね」「またいつか、お話を聞かせてね」「お互いに、なんとか乗り切ろうね」などと、相手にエールを送ることができれば、短い時間でも、十分に相手と温かい気分の交換ができるでしょう。