昔からの友達に心配されたミスコン出場
――バンドを始める前のフィンスイミングは、習い事でやっていたんですか?
中川:普通の水泳を小5ぐらいまで習っていて。背泳ぎの選手でしたが、腕よりも足の力のほうが強いと言われてたんです。たまたま練習場でフィンスイミングをやっている人の泳ぎを見て、「あっちのほうがいいんじゃないか」って。形から入るタイプなので、フィンが大きくてカッコいいし、フィンを肩にかけて学校に通うのも「カッコよくない?」って(笑)。
――「大きくてかっこいい」って、ドラムと同じ理由ですね(笑)。それで始めたフィンスイミングでは、アジア選手権の日本代表アジアジュニアメンバーに選ばれたそうですね。それをやめたのは理由があったんですか?
中川:今まで話したことがなかったんですけど……高校3年生まで続ければ大学受験でスポーツ推薦の枠に入れるんです。でも、中学3年生になる前に、この競技をずっと続けられるか考えたとき、ここからあと4年も頑張れないと思ったんです。
水泳から転向してくる子もたくさんいて、自分の才能の限界を感じてしまって。しかも、最後の大会も良い成績が残せず、しっかりめに「終わっちゃった」と挫折感がありました。そのあと、“何もすることない……”と、ひきこもっていた私を救ってくれたのがバンドだったんです。
――そこからバンドを続けていましたが、最近やめてしまいましたね。
中川:個人の仕事が忙しくなったことが大きな理由です。そして、これも自分の才能との兼ね合いで去り際を考えて、今だと思いました。今でも音楽は好きなので、いつか演技の仕事でドラマーの役ができたらいいなと思います。以前に舞台でギターを弾いたことがあるんですが、そのときも“こういう掛け合わせができるのはいいな”と思いました。
――先ほど学生時代はヒエラルキーが高いほうではなかったとのことでしたが、ミスコンのようなヒエラルキートップの世界に飛び込んで、違和感やプレッシャーはなかったんですか?
中川:昔からの友達にはめちゃくちゃ心配されました。「急にどうしたの?」って。大学デビューしたと思われたようですが、今となってはみんな「そういうことか!」と納得してくれています。そういう私自身を知ってくれている濃い友達は何人かいるんですけど、友達が多いタイプではないので、良くも悪くもそれほど周りの目が気になることはなかったですね。
――そのミスコンから人生が開けていきました。
中川:どうなんでしょう。自分的には何も変わっていなくて、マネージャーさんにも「私って一生、焦ってるよね」と言っています(笑)。
――不安症なんですか?
中川:そうだと思います。何かをしてないと何もなくなっちゃうんじゃないかと思って、すぐ動いちゃうんです。水泳をやめてドラムをちゃんとやろうと動くまでの半年が、人生で一番無駄にした時間で。ベッドから1ミリも動かないみたいな生活でしたから。
――燃え尽き症候群ですね。
中川:またそうなるのが怖いし、同じ状態にはなりたくないから焦るんだと思います。