「こういう人になりたい」という理想像を探す日々
――周囲は就活をするなかで、俳優としてやっていくことに決めた経緯は?
中川:事務所に入った頃はコロナ禍で、お仕事もたくさんあるわけでもなかったので、資格の勉強をしつつ就職をしようか迷いました。でも、少しずつお仕事をいただけるようになって、両親からは「あなたは定時に出社して同じ会社で働き続けることに向いていない」と言われてもいたんです。確かにそうだなと思い、この仕事で頑張ってみようと決めました。
去年から今年の始めにかけては、恋愛リアリティーショーやバラエティ、イベントなど、未経験の仕事が重なって。まずはやってみないと気が済まないタイプでもあるので、頑張って取り組んで、自分がどのジャンルが好きなのか1年かけて考えました。
それで2024年はやりたいことを全部ではなく、中途半端にならないように2~3個に絞ろうと決めたんです。それでバラエティも含めての喋る仕事、エッセイなどの書く仕事、それと演技が好きだから演じる仕事、その3つに絞ることにしました。
――中川さんの性格として、ひとつのことに集中しちゃうタイプなんですね。
中川:そうなんです。あれもこれもやっていたら、1つにかける時間がどんどん少なくなり、結局、自分は何がやりたいのか……数年後にはわからなくなっちゃいそうだなって。それで、今までやってきたことは1回リセットして、今やりたいことって何かな?って考えたんです。
――喋る、書くというのは具体的にはどんな仕事ですか?
中川:喋るのはラジオやバラエティ。書く仕事はエッセイをウェブで連載しています。もともと本を読むのは好きで、コロナ禍の自粛期間に一番時間を費やしました。
――そこから書く仕事につなげたということですね。エッセイの連載をやってみた感想は?
中川:自分に向いていたらいいなと思います。まだ、誰かのために書くことができないんですが、自分のために書いていることでも「私もそうです!」と共感してくれる方がたくさんいるのはうれしいです。あまり媚びを売るのが得意じゃないので、それでもいいと思ってくださる方がいて、読んでもらえたらうれしいです。
――役者業についても聞かせてください。これまでもいろんな作品に出演されてますが、演じる楽しみを知ることができたのはどの作品ですか?
中川:最初に刺激を受けたのは舞台です。目の前にいるお客さまの前で演じること、そこで発するセリフの重みを痛感しました。そして、NHK BSのドラマ『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』は、キャストの皆さんが朝ドラや大河ドラマで見てきた有名な方ばかりだったので、また違うフェーズの洗礼を受けました。
しかも、私の演じた役は、ピンク・レディーのケイさんがモデルだったので、後悔のないようにしたくて、役で初めて減量をしました。そしてダンスや歌という個人的には一番苦手なことをやる役でもあったので、“何かになるためにやらなきゃいけない過程”が一番ハードだった作品で、とても印象に残っています。
演技のために日常生活を送る俳優さんも多いと聞きますが、“それもそうだな”と感じられるほど、自分に足りてないものが明白にわかった時間でもありました。
――この先のビジョンについてもお聞きしたいと思います。“喋る、書く、演じる”という仕事をするうえで理想とするスタイルはありますか?
中川:バンドも水泳も「この年齢までにこれをやる」という近い目標を置いて、「ゆくゆくはこういう人になりたい」みたいなビジョンがあったんですけど、今はその理想像を探しているところです。
ミスコンに出る人に恋愛話はご法度だと思うんですが、私はミスコンに出つつ恋愛リアリティーショーにも出る異端児!?(笑)。それぞれのジャンルで憧れる人はいるんですが、「死ぬまでにこういう人になっていたい」という人物像を見つけていきたいと思っています。
(取材:本嶋 るりこ)