興味のある分野の入門書から読み始めてみる

博物学という分野があります。植物や動物、鉱物など自然界に存在する、あらゆるものの種類や性質を整理して記録する学問とされていますが、要するに博物館をイメージしていただければわかると思います。

現代の科学は、自然界に存在するもののほとんどを分子レベルで解析したり、遺伝子レベルで研究して、その性質や系統、進化の過程を解明することができますから、博物学というのは過去の学問という見方をする人もいます。

ところが、アマチュアにとっては非常に魅力的な学問分野で、たとえば昆虫好きの少年が新種の昆虫を発見したり、鉱物好きの大人が思いがけない場所で貴重な鉱石を発見したりします。恐竜の化石も、しばしばアマチュアの化石好きが掘り当てたりします。

朝ドラで人気になった牧野富太郎も、少年時代から植物採集に熱中して数多くの新種を発見していることは、皆さんもご存じだと思います。

つまり、彼らは彼らで、自分なりに勉強して興味ある分野の知識を深め、分類や整理を繰り返すことで観察力を深め、それが新種の発見や思いがけない出会いを生み出すことにつながっています。これは分子レベルの解析に熱中する研究者(全体を見ずに、最初から狭い専門領域だけを学ぼうとする人)にはできないことです。

▲興味のある分野の入門書から読み始めてみる イメージ:metamorworks / PIXTA

読書の楽しみも同じではないでしょうか。自分が好きな分野や興味のある分野を入門書レベルから読み始めても、そのなかで興味が湧いたり、疑問がつぎつぎに生まれてくるような分野にぶつかれば、さらに掘り下げて教えてくれる本を探すようになります。すると、どんどん専門的な本や知識を持っている人から学ぶようになります。

とにかくワクワクした気持ちで入り口に立つことさえできれば、あとは自分の興味に従うだけでいいのです。