年齢を気にしすぎることで、心はもちろん、体の老いも加速させてしまう……。では、どうすればいいのか? 年齢にとらわれず、せっかく自由な時間が手に入った老年期をワクワクして過ごす方法を、高齢者専門の精神科医として6000人以上の患者を診てきた和田秀樹氏が紹介します。
※本記事は、和田秀樹:著『心が老いない生き方 -年齢呪縛をふりほどけ!-』(ワニブックスPLUS新書:刊)より一部を抜粋編集したものです。
あなたにはまだ人生には長い時間が残されている
あなたはここまでの人生に満足しているでしょうか?
これは人によって答えはさまざまでしょう。
50年近くも勤め続けて、子どもも社会人になったとか、家のローンも完済したとか。とにかく、無事にこの年齢までやってこれたことを考えれば、上出来としか言いようがないような気もします。
不満を感じている人もいるでしょう。もっと好き勝手に、自分がやりたいことをやってもよかったんじゃないか、という不満です。
ただし、満足であれ不満であれ、答えを出すのはまだ早すぎます。
これからの人生だって10年20年という長い時間が残っているからです。答えを出して納得するより、その長い時間をどう生きるかを考えたほうが楽しいし、ワクワクした気分になるはずです。
だから、ここははっきりと、まだやり残したことがある、試してみたいことが残っていると認めたほうがいいです。
60代、70代で自分の人生を締めくくるのは、いくらなんでも早すぎるような気がします。
では、これからやってみたいことを思い描いてみましょう。
これは簡単にできるはずです。今までにも「やってみたい」とか「できないかな」と計画したことは、いくつかありますよね。
それをひとつずつ思いだしてもいいし、まったく新しいこと、最近になって憧れていることを具体的に計画してみてもいいです。
そう考えると、すぐに「でも……」が出てきませんか?
年齢、体力的な不安、おカネの制約、周囲の反対……などなどですが、自分自身がブレーキをかけてしまうこともあります。
「この歳になって無理はしたくない」「失敗したら周囲に迷惑をかけてしまう」「いい歳をして笑われるだけだ」といった心配だけでなく、自分で計画を立てたり思いついた段階で「もう少し考えてからだな」と決断を先延ばしすることが多いのです。
失敗したり途中で逃げ出したりしないように、いろいろなリスクや不安を一つずつ数え上げて、その対策も考えます。すると、懸念材料が次から次に出てきます。
なんといっても体力や健康への不安があります。無駄遣いできる余裕だってありません。せっかくここまで堅実にやってきたつもりなのに、人生の終盤で失敗したり笑われるような醜態は見せたくない気持ちもあります。
つまり、“もう少し考える”というのは、計画を断念する言い訳を考えることになってしまいます。
しかし、今までの人生を考えてみてください。自分の願望や心の自由を抑え込んだことがたくさんあったはずです。
あるいは、財産を残せたというなら、それを思う存分に使い切ってしまいたい、という欲望もあります。それは少しも贅沢なことではなく、我慢の人生へのご褒美になってくるはずです。