八木真澄(サバンナ)が考案した架空の生き物を、レイザーラモンHG(レイザーラモン)が愛らしくイラスト化した『未確認生物図鑑』(ヨシモトブックス)をご存じだろうか?
これまでもオリジナルの「怪獣」や「世界の武器」などを発表してきた八木が、SNSに投稿をしている「未確認生物」。この本には厳選された未確認生物が100体が収録されており、レア度や生息地、八木のオリジナルスケッチ、生態レポートなども掲載されている。構想含めて2年、イラスト作業は約半年費やしたという図鑑を発売し、ユニット「ネオ☆健康ボーイズ」としても活躍する八木とHGに、ニュースクランチが話を聞いた。
しんどい時期に未確認生物に助けられた八木
――未確認生物を描き始めた経緯を教えてください。
八木:関西で活動していた30歳の頃、一瞬だけレギュラーがゼロになったんですよ。“どうしよう”って思ったときに、怪獣を考えて(のちに『ぼくの怪獣大百科』という書籍に)、その怪獣たちに勇気をもらったんです。
そのあと『笑いの金メダル』(テレビ朝日系)に出られたり、相方(高橋茂雄)が『エンタの神様』(日本テレビ系)で活躍したりして、上京するきっかけができました。今回、久々にレギュラーがゼロになって……。しんどくなったら、今度は未確認生物が助けてくれたんです。
HG:(自分で生み出すので)悪く言うと現実逃避というか(笑)。
八木:(笑)。たぶん、一般の社会人やったら、ピンチになったときに同僚が囲んで「大丈夫や」と励ましてくれると思うんですけど、僕の場合は大量の未確認生物が囲んでくれるんです。やばいときに来てくれるんですよ。
HG:(本として)かたちになる3年ぐらい前から、毎朝必ず未確認生物1体をSNSに上げていたんですけど、ちょっと怖かったですね(笑)。でも、キャラクターはめちゃめちゃ面白いし、すごく興味深いので、傍から見ていてすごいなと思っていました。
――未確認生物は、どのように生み出されるんですか?
八木:イラストは何も考えずに描くので運なんですよ(笑)。適当に線を描いて、足とか目を描いて、色を塗っていると完成するんです。そのあと、半年間ぐらいイラストを寝かせます。忘れた頃に“こいつなんやろ?”とデータや名前などを考える感じですね。
――HGさんにイラストを依頼した理由はなんだったのでしょうか?
八木:「ネオ☆健康ボーイズ」で営業に行ったときに、(営業先の方から)「キャラクターを考えてほしい」と言われたんですよ。僕は絵が下手なんで、HGに描き直してもらったら、そのキャラクターがすごく良くて。「ちょっと一緒にやらへん?」と誘ったのがきっかけです。
――八木さん原案の未確認生物をイラスト化する作業はいかがでしたか?
HG:面白いアイデアばかりだったし、すごくかたちにしやすかったですね。八木さんってすごく褒めてくれるんですよ。2~3日かけて1体描いてチェックしてもらうんですけど、LINEで送ったら「ここカッコいいな」「ここの表現いいな」とか、毎回ひと言褒めてくれるんです。でも、100体もやっていると、もう褒めるところがなくなったのか、終盤は「背景キレイやな」って。
――(笑)。それぞれ原案を考える際、イラスト化する際に自分の中で決めていたことはありますか?
八木:その生物の生態を考えるときに、「やっつける」とかはいいんですけど、あまり「殺す」とか「食べる」とか、そういった表現はしないようにしています。個人的にイヤなんですよね。
HG:基本、見たものからイメージしています。八木さんってカラーリングが独特で面白いので、そこは忠実にしています。
第1弾のトレーディングカードをレアにしたい!
――イラストを拝見すると、子どもの頃に集めたような「ビックリマンシール」のようなかわいらしさがありますよね。
HG:そうですね。シールやトレーディングカードなど、最初は収集できるイメージで作っていました。
八木:今回、ラフォーレ原宿で展示会をやらせてもらうんですけど(「愛と狂気のマーケット」内 / 4月30日まで開催中)、そこでトレーディングカードを販売することになったのでうれしいです。
――カッコいいイラストはもちろん、レア度が収集欲を駆り立てられます。
八木:そうですね。レア度は、ブロンズ・シルバー・ゴールド・レッドなどがあります。
HG:レア度は八木さんが決められたんですけど、描いていて理解できなかったことがあって。強そうなキャラクターのレア度が高いのはわかるんですよ。でも、描きながら“コイツ低いやろな”と思ったキャラも、めちゃめちゃレア度が高いんです。
八木:そこは『ドラゴンボール』に影響されているかもしれないですね。フリーザが出てきたとき、小さかったでしょ。小さいけど強いっていう。
――腑に落ちました(笑)。今回は会場限定ですが、全国的にカード販売されるのも夢ですよね。
八木:そうですね。小学5年生の息子にカードになることを教えたんですけど、めっちゃ欲しがっていました。そのくらいの年齢ってカードが欲しくなるんですよね。でも「タダではもらわれへんで」と言っておきました(笑)。
――第2弾、3弾は考えているんですか?
HG:八木さんはすでに1500体くらい考えてはるんですよ。描く作業は楽しいし、まだまだ埋もれた作品はあるので、それをかたちにできたらいいなって。
八木:もしそうなったときは、ラフォーレのカードを買ってくれた人が優越感に浸れる状態にしたいです。今回、はっきり言うて、ほぼ誰も知らない状態で始まっているじゃないですか。これがもし続いたとしたら、第1弾のカードがレアになる……。そういうのって、カードの魅力でもあると思うんですよね。