福島善成(ガリットチュウ)が9月に開催されたIBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)が主催する​​『ワールドマスター柔術選手権』​​で優勝を果たし、世界一となった。

30歳以上の選手が出場する柔術の世界大会。岡田准一や玉木宏なども参加した大会とあって、メディアでも多く取り上げられた。昨年は「マスター3青帯ライト級」で3位と悔しい思いをした福島が、今年は「マスター4青帯ライト級」​で​見事リベンジを達成。世界一となり、柔術ファンのみならず、日本全国に勇気と希望を与えた。

ニュースクランチでは、福島の相方・熊谷茶をまじえてインタビュー。選手権のことはもちろん、コンビのことや熊谷が挑んだある大会のことまで、たっぷりと語ってもらった。

▲ガリットチュウ(熊谷茶・福島善成)【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

営業先の飲み会で福島の闘争本能に火をつけた

――大会終了してからしばらく経っていますが、興奮冷めやらぬ、といった感じでしょうか?

福島 大会前まで1か月以上も酒を抜いていたんですけど、終わってからは、ほぼ毎日のように飲んでいて、フワフワしている自分がいますね。酒を飲んだ次の日って、めちゃくちゃ動きが悪くなって練習にならないんですよ。本当に1杯でも変わってくる。だから1か月間やめてました。

――熊谷さんは日本で吉報をお聞きになったと思いますが、いかがでしたか?

熊谷 いや、本当に良かったですよね〜。

福島 正直に言ったら? 昨年は彼女と同棲していたんですけど、朝ムクッと起きて「え、どうだった? 3位! メダルね。オッケー!」って、また寝たらしいんですよ。それぐらいの興味ですから。

――(笑)。

福島 浮気されて別れちゃったんだよな。浮気されたあと、また別の男と出ていきましたから。

熊谷 浮気された時点で関係は終わってたから……って、その話はいいのよ! 今年は(時差があるため)朝8時からちゃんと起きましたけど、放送は見られなかったので、SNSのタイムラインを追いかけながら「お! 勝った。よしよし!」って。やっぱり20年以上コンビを組んでいて身内のような感じなので、優勝したときは「よかった」というより、ホッとしましたね〜。

福島 そんなことないっすよ。8月中旬に熊本で営業があったんですけど、そのときに打ち上げがあって、めちゃくちゃ飲みたかったけど我慢したんですよ。熊谷も「俺も我慢する」とか言うと思ったら、そんな僕の前で20杯くらい飲んでベロベロになってましたから。

熊谷 いやいやいや(笑)、同期の黒瀬純(パンクブーブー)ちゃんもいたし、(福島が)「1杯はいいよ」みたいな顔してたんですよ〜! さすがに20杯はやりすぎましたけどね。

福島 しかも、純ちゃんの知り合いの方が女の子を呼んで、その女の子を口説いてましたからね。めっちゃボディタッチ増えて。

熊谷 まぁ、結果的に(福島の)闘争本能は燃やせたかなと思います(笑)。

▲熊谷の憎めないダメさもガリットチュウの魅力だ

自分がクソ芸人だから強くなった

――改めて、福島さんが挑戦された選手権はどんな大会なのでしょうか?

福島 出場者が約1万人、来場者が3万人くらい集まる柔術の祭典です。しかも会場の「ラスベガス・コンベンション・センター」がむちゃくちゃデカくて、46面でやるんですよ。僕が泊まったホテルが隣にあったんですけど、自分が参加する場所まで歩いて30分ぐらいかかりました。

――福島さんが、本格的に柔術をやり始めたのが2020年12月。たった数年で、日本の選手をなぎ倒して、世界にいったってことですよね? 

福島 そうですね。『全日本マスター柔術選手権』や『IBJJFアジア柔術選手権』などで優勝しました。

――稽古をするなかで、自分の才能を感じる瞬間もあるのでは?

福島 「右変形性関節症・右足関節内遊離体」​​と診断されて足を手術したあとに、より感じるようになりました。完治して三角締めが組めるようになったとき、“俺、足で人を挟む力がものすごいんだな”って。1回組んだらまったく外れないんで。

――そうした技術は、どうやって学んでいったんですか?

福島 いま通っている「トライフォース柔術アカデミー」には、日本からも海外からも(選手が)出稽古にやって来るんですよ。手足の長さ、パワー、攻め方、みんな特徴が違うなかで、ずっと組み手をやり続けていたんで、体で覚えたって感じです。

あと、僕が出稽古に行ったとき、僕とやる人は、おそらく酒のつまみで「今日、福島とやって勝ってさ〜」って言いたいから、いつもより1.5倍の感じで来てるはずなんですよ。それを言わせないために、僕も本気でやって、だいたい制していました。

それで試合勘を養うというか……。僕がもっと国民的スターだったら気を使ったと思うんですけど、クソ芸人だから“こいつだったら腕の骨を折ったっていい!”と思ってるはずなんで(笑)。