私の調理シーンは「殺陣みたい」
――先ほど「千尋さんはおいしく食べる担当」とおっしゃいましたが、食べるという演技をやってみていかがですか?
松村:食べ方は、普段の自分と変えたつもりはありません。ただ、食べたあとにセリフを言うのが大変でした。豪快に食べたほうがおいしそうに見せるには魅力的なんだろうけど、豪快に食べすぎるとセリフが言いづらいんです。だから、口に含む量のバランスは意識していました。
――演技として食べたものもおいしかったんですよね?
松村:はい! 何回も食べたいから「わざとNGを出そうかな」って思ったくらいです。あまりにおいしくてカットがかかったあともずっと食べていたら、監督に「ドラマっていうのは(シーンとシーンの)“つながり”があるんだよ」と怒られました(苦笑)。
――特においしかったものは?
松村:全部おいしくて、なかでもバッファローウィングはものすごくおいしかったです。いっぱい食べるシーンがあって、その日150本用意していると言われていたんですよ。「人数で割ったら1人30本くらいしか食べられへんな」と思っていたんですけど、健太さんの後輩の三船くん(金子隼也)が40本くらい食べてて「ちょっと! 食べすぎやろ!」って思いました(笑)。
――食べるだけでなく、松村さんが調理をするシーンもあるんですよね。
松村:はい、あります。調理シーンの9割くらいは健太さんがやってくれて、私は少なかったからこそ、とても緊張しました。ひとつ失敗すると最初から撮り直しになるから「絶対に失敗できない!」みたいな緊張感がすごくて、そんな私を見た黒羽さんが「殺陣みたい」って(笑)。
――料理なのに殺陣のような緊迫感があったんですね。
松村:調理シーンは、スタッフの皆さんも「絶対においしく撮るぞ!」と意気込んで撮ってくださいました。皆さんのこだわりを感じられるシーンになったと思います。
――いろんな料理を作ったり食べたりするなかで、気づいたことや発見はありましたか?
松村:この作品を通して、「料理ってそんなに難しいものじゃないんだな」と感じました。外でバーベキューをするのはちょっと難易度が高いけど、調理工程はシンプルなものが多くて。肉巻きも塩コショウだけで十分おいしかったんですよ。私の中で料理は「あれこれ用意して、あれこれやらなきゃいけないもの」だと思い込んでいたけど、そうじゃなくて、今あるものを使って自分のできることをやるだけで十分なんだと思えたのは発見でした。
――では読者に向けて、このドラマの見どころを教えてください。
松村:見どころは、私のかわいさです! いや本当に!(笑) プロフェッショナルの皆さんのおかげで、自分でもびっくりするくらいかわいく撮っていただきました。そして何より、おいしそうな料理ですよね。放送時間は深夜なので視聴者の皆さんにはツラい思いをさせてしまうかもしれませんけど(笑)。映像美は、このドラマの見どころだと思います。
――たしかに、深夜にバーベキューの肉を見せられたらお腹が空いてしまいます。
松村:ご覧いただいて、「おいしそうだな。よし、明日のご飯はこれにしよう!」みたいなルーティーンにするのもいいかもしれません。
――ちなみに松村さんは、その日の晩ご飯や次の日のご飯はどのように決めていますか?
松村:食べたいものが前日に浮かんでくるタイプですね。「明日はこれが食べたい!」って。私はあまり料理をしないし得意でもないけれど、食べたいものが浮かんだら料理サイトでレシピを調べて、必要な食材をスーパーに買いに行ったりもします。
――料理をするときは、事前にしっかり調べて買い出しに行くタイプなんですね。
松村:はい。世の中には冷蔵庫にあるものでパパッと作ったり、スーパーで食材を見ながら献立を決める人もいると思うんですけど、私はそういうタイプではないです。
――では最近、松村さんが作った料理は?
松村:それこそ、ドラマに出てくるスペアリブは自分でも作りました。スペアリブなんて、お祝いや外で食べるイメージじゃないですか。でも、けっこう簡単だったんです。ドラマで作ったのを家でマネしてみたら、めっちゃおいしかったです!