自分がした発言が上手く伝わらないときは?

麻倉:あはははは! それを健屋さんのボイスで言われるの面白いし、嬉しい! 逆に健屋さんがされたくない二次創作ってあるんですか?

健屋:なんだろう、ないかもですね。本当になんでも大丈夫って言ってます。

麻倉:そうなんですね。

健屋:やはり自分の色々なイラストが見られるのは嬉しいし、なんなら自分の色っぽいイラストを描いている人に、歌ってみたのイラストを依頼した事もあります。

麻倉:それはめちゃくちゃドリーム……! 「エロい絵を描いてたら本人から連絡きたんだが」状態ですよね。二次創作はこういう良いこともあるけど、例えば根も葉もない噂を立てられてしまう事も、VTuberの方は多そう。

健屋:ありますね。ただ、私はそれも良くはないんですけど、 自分のした発言が違う意図で捉えられることのほうが嫌ですね。

麻倉:なるほど、ネット記事あるあるかもしれませんね。そういう時はどう思うんですか?

健屋:うわあ、そう聞こえちゃったか、でもわからないよね、って思います。でも、人が言葉を受け取る時って、その人の価値観とか、考え方を一回通して受け取るから、言葉の意味をそのままフラットな状態で受け取る事はできないだろうなって。

麻倉:うん、そうだと思います。

健屋:でも、逆に言うと、それが素敵な事として作用することもあると思ってて、例えば作品を作ったり、歌やお芝居を披露したときに、その人が受け取って何かを感じてくれることで作品は完成すると思っているので、受け取る側である程度変わってしまうのは仕方ないと受け止めて、あとこちら側ができることは分かりやすく伝えるしかないかなと思ってます。

麻倉:たしかに。やっぱり私も他の人に何かを伝える時、枕詞が多くなっちゃいますもん。

健屋:日本語ってそもそもふわふわしているものだから、私も配信だと真意を伝えやすいけど、X(旧Twitter)だと140文字だから、何気なく言ったことがこう取られちゃったか、みたいな事で反省することはありますね。

――麻倉さんもよくご自身で炎上する、と仰ってますが、それはどう乗り越えているんですか?

麻倉:いや、よくこの連載でもその話になるんですけど、そもそも気分の乱高下が激しいタイプなので、気分が上がってるときに炎上しても“まあ、私だしな”ってなるけど、落ちているときに見ちゃうと、誰にも接触したくなくなっちゃうし、ただ時が過ぎ去ってくれるのを待つだけになっちゃう。下がった時はアニメですら可愛い子が見られなくなっちゃって、男の子しかでてこないアニメを見ちゃうんですよね。「ハイキューの稲荷崎戦※5やっぱ良いなあ」とかひとりで言いながら。

健屋:時がすぎるのを待つ、というのは良い回避方法だと思います。

麻倉:健屋さんがさっき、医療従事者としての話をされていたと思うんですけど、例えば私くらいの女性に、啓蒙したい事ってありますか?

健屋:生理関係で何か異変を感じたら、すぐに病院に行ってほしいという事ですね。特に生理痛は悩んでいる人が多くて、我慢してしまう人もいるので、配信でも“婦人科に行ってね”とよく伝えます。

麻倉:なんか未だに生理ごとき、みたいな風潮って消えないですよね。この前もXのリプ欄で「生理ぐらい自分で管理できるようになれよ」って書いている人がいて。

健屋:見ました! 本当信じられない人がいますよね。

麻倉:言っちゃいけない言葉で言い返したくなるような事を、平気で言う人がまだいるんですよね。私も生理痛がひどくて、3日くらい動けなくなっちゃうので、健屋さんのその言葉はすごく重要だと思います。じつは私もこの前、子宮頸がんの検査で引っかかって、結果は大丈夫だったんですけど、検査が凄く痛くて。

健屋:そうなんですよね。

麻倉:でも、これにお金がかかるんだ、って正直思っちゃいました。子どもを産むことができるのは女性しかいないし、国は少子化対策を声高に言うけど、その産む過程で色々煩雑な事が多くて、お金もかかるってなると、それはどうなのかな、と思っちゃいましたね。

健屋:この話をはじめると、保障なども含めとても深い所に議論が行ってしまうんですけど、でも麻倉さんの仰ることはもっともで、お金がかかるから、とか、少し面倒だな、という気持ちで検査から足が遠のくという選択を、女性の方々には取らないでほしいなと思います。

好きなことを好きな気持ちを忘れないで

麻倉:この連載でよく聞いている事なんですが、VTuberって今や小さいお子さんから見てもあこがれの職業だったりすると思うんですけど、こういう人がVTuberに向いている、とか、健屋さんから見てありますか?

健屋:何か得意なこと、好きなことをひとつ持っている、という事でしょうか。これはVTuberに限った話じゃないかもしれませんが、例えばゲームが上手いというのもひとつの才能だと思いますし、歌がうまい、お話が上手、これもすべて才能ですよね。だからこういう人がVTuberを目指した方が良い、というよりか、自分の好きなものを極めていって、その先にVTuberという道があるとなお良いよね、と思います。

麻倉:含蓄がある。

健屋:ただ、好きなことをやるためには、好きじゃないことをやらないといけない場面もある。その折り合いはつけないといけないと思います。必ずしも、好きなことだけをやったら良いよ、と言いたいわけではなくて、好きなことをやるために好きじゃないことをやりつつ、好きなことをうんと伸ばしてほしいなと思うんです。

若い方々、特に学生さんは“今しているこの勉強が、いったい何の役に立つんだろう”って思いがちだと思うんですけど、その勉強する事によって、将来あなたが勉強したいこととか、好きなことを気にせず勉強できる環境に行けたりする。私は、繋がっていると思うんです。

麻倉:そうですね、選択肢も増えますし。

健屋:そうです。勉強の内容もそうですけど、勉強するために計画を立てる、その能力が養われていくことで、将来それが役に立つことももちろんあると思っています。何かに打ち込むという経験が人生においてあなたを強くすると信じているし、一見、自分には関係ないことや、やりたくないことでも、長い眼で見たらやって意味のない事ってないと思っています。好きなことを好きな気持ちを忘れないで、頑張ってほしいなと、これは若い方だけじゃなく、年齢に関係なく思います。

麻倉:ありがとうございます、私が健屋さんに心奪われた理由がよくわかりました。本当に知的で温かくて、自分も含め人々の好きに寄り添う方なんだなって。お話できて光栄でした。あの、健屋さんがお話したコラボグラビアの件、本気にして良いですか?※6 もう衣装ポチっちゃった。

健屋:もちろん! もし実現したら撮影の現場に行きたいです!

麻倉:健屋さんだったら生のおっぱい触らせるんで! (担当編集に向かって)ワニブックスでやれなかったら、ほかの出版社に持っていきますからね!

健屋:(笑)楽しみにしてます!

【麻倉瑞季による注釈】

※1 『君が飛び降りるのならば』…Omoi Pのボカロ曲。希死念慮が強い子は絶対聴け!

※2 ヤリモク…性的行為のみを求めているのにも関わらず、下心を一旦隠して近づいてくる愚かな行為。

※3 ゾーニング…人の地雷(性的趣向であったり、その時の場合によりまあ色々)の棲み分けのこと。

※4 ディープフェイク…AIを使って作る偽画像、偽音声。マジで俺的にF☓☓K。

※5 ハイキューの稲荷崎戦…まずは読め! ネタバレ、俺は人にするのは反対派やねん。

※6 コラボグラビアの件、本気にして良いですか?…ヲレは絶対に実現させる! ワニブックスさん! どう? 他社に取られる前に!!!!!!