今年の『キングオブコント2023』では、準決勝に初進出した8人組ユニット・ダウ90000。その一員である吉原怜那は、ドラマ『シガテラ』にアキコ役でレギュラー出演、ラッパー・ichiyonの楽曲「MOONCATCH」のMVにも登場するなど、ソロでの活動も注目を集める存在となっている。

ニュースクランチのインタビューでは、ユニットの最年少メンバー、そして現役大学生でもある彼女の子役時代から現在まで、その素顔に迫った。

▲吉原怜那(ダウ90000)【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

小・中学生レベルの“しっかりしている”

――今年『キングオブコント』準決勝に初進出、そして『女芸人No.1決定戦 THE W』のセミファイナリストにも選出されています。また連続ドラマにもレギュラー出演されるなど活躍も目立つなか、大学にも通って……すごく多忙ですよね。

吉原怜那(以下、吉原) そうですね。『キングオブコント』準決勝の週に『THE W』の2回戦が控えていたりして、忙しくさせていただいていたのですが、それでもお休みの日は全然あるので、息抜きできています。でも、大学については……あのー、正直どんなスケジュールであっても、関係なくしんどい(笑)。なんか、自分にとって大学は“重たく”て。

――大学は“重たい”?

吉原 はい。私、暮らしに関してはキッチリした社会人って感じじゃないんですよ。どっちかというと、いわゆる芸人っぽいタイプなんだと思うんですよね。何をもって“芸人っぽい”と言うかも難しいところではありますけど。

っていうのも、最近は芸人でも社会人を経験していたり、現役で会社に務めている人もいるじゃないですか。そういう方々を見ていると、社会人の基礎っていうのがしっかりしていて生活力みたいなところもあるから、羨ましく感じる瞬間があります、私にはできないことなので……。大学も言ってしまえば、社会性を求められる場所だから、“重たく”感じちゃうのかもしれないです。

――普段の吉原さんはしっかりされているように映るので、ちょっと意外です。

吉原 たまにそう言っていただくんですけど、その“しっかりしている”っていうのが、小・中学生までは通用するレベルのしっかりしているなんですよ、ホント!(笑) 料理も作れないし、洗濯機の回し方もあんまわかってない(笑)。

――でも、吉原さんが料理上手だったり、家事炊事をチャキチャキこなしていたら、それはそれでギャップ萌えになるのかもしれないですが、あまりできないと聞くと、そうでなくちゃ!って(笑)。

吉原 そう言っていただけるとうれしいですけど…(笑)。きっと、自分の関心がものすごく強いものに対してじゃないと、しっかりできないんだと思うんですよね。

ダウ90000に入る前から「就職しない」と決めていた

――以前、テレビディレクター・山内健太郎さんのラジオ番組で「大学入学時から、就職をしないことを決めていた」とお話されていましたね。

吉原 そうなんですよ。就職活動して企業に入るっていうのが一般的なルートって言われてますけど、誰にでもできることじゃないし、少なくとも私にはできないことだってわかっていたんで。なので、ダウ90000に入る前から「就職はしない」と周りに言っていました。

――「自分はこういう人だから、この道は選ばない」と、大学1年の時点で思えていたことがすごいですよね。いろいろと自覚的になるタイミングが早いというか。

吉原 たぶんそれって、子役時代の経験が大きかったんじゃないかなと思うんです。『天才てれびくん』に憧れて小3から芸能事務所に入って、中2までやってました。当時は身近にアイドルを目指して頑張っていたり、その夢を叶えている子も多くて。アイドルって、16〜17歳くらいまでに“アイドルになる”っていうことを決めてないと間に合わない世界じゃないですか。

もちろん、当時、子役として人前に出るお仕事をして楽しいと思えたことが、今の自分につながっているところはあります。ただ、若い頃から自分の人生を考えている子が周りにいっぱいいたから、“そうなれない自分”について焦っていたし、劣等感もありましたね。

――なるほど、子役時代の環境が吉原さんを自覚的にさせたと。

吉原 そうだと思います。あと、両親も「就職しない」ということを受け入れてくれていて。きっと子役をやらせるということで、私に投資してくれていたんだと思うんですよね。だから、なんとかものになって、それを少しでも返してほしいって気持ちもあるのかなって(笑)。

――芸人になってからのご自身のことは、どのように捉えていらっしゃいますか? 大学在学中に「東大落研(東京大学落語研究会)」に入ったことがキッカケで、ダウ90000の一員になり、注目を集める存在になったわけですが。

吉原 よく「早咲き」と言っていただけるんですけど、自分ではあんまりそう思っていなくて。というのは、さっきお話したように、子役時代に“自分は出遅れてる”っていう思いがすでにあったのが大きいですね。

ただ同時に、芸人としては下積みが短いなって感じますし、そこに対する不安もあります。高校の頃からお笑いが大好きで、ライブにもよく行っていたんですけど、そこで10年くらい頑張って『M-1』とかの賞レースの決勝に行って……みたいな方々をたくさん見てきたので。自分はまだまだこれからだなと思ってます。