もちきびのプチプチ感
その場では粒あんのおはぎとタンカンのおはぎをいただいた。
粒あんのあんこは水分が多めで、甘さはやや控えめ、しっとり柔らかいが第一印象。
おもちの食感は柔らかさの中にもち米の形が残ったしっかりとした歯ごたえが残っている。
そして噛むたびに口の中で控えめに感じるプチプチとした感覚。
断面をよく見ると中には黄色いちいさな粒が混ざっている。
店主に尋ねてみると、「もちきび」という穀物を混ぜているようでその食感だった。
後に調べてみると「もちきび」はビタミンや亜鉛などを豊富に含んでおり、疲労回復や免疫力の向上に効果があるそう。
おいしくて栄養もあるなんてありがたい以外の何物でもない。
タンカンのおはぎ
タンカンのおはぎは人生初の経験。
オレンジ色のおはぎは柑橘のさわやかな香りを仄かに漂わせている。
一口食べてみる。
タンカン特有の強い甘さをまず感じる。強い甘みと言っても果物の自然な甘さであり甘ったるさは全くない。
でも不思議なことに酸味もほとんどない。
この甘さの中に一石投じているのがタンカンピールの存在。
この細かいピールの存在がかなり私の味覚にアピールをしてくる。
甘味料に白砂糖を一切使っていないということで「甘さ」という点で非常に優しく上品な印象を受けた。
そこにタンカンピールが入ることによりこのおはぎを食べた時に口の中で
「何かイベントが起きた!」
というひと騒ぎがあった。
少し前のダジャレはもう忘れてください。
一口でも食べられそうな大きさや並んだ時の偉観にかぶりつきたくなる気持ちが顔を出すが、大変に繊細なおいしさであるのでぜひ落ち着いて味わっていただきたい。
店内は落ち着いた雰囲気で三席ほどカウンター席があり、その場で味わうことも、持ち帰ることもできる。
カウンター席でおはぎを味わっていると常連の女性が来店された。
会話ラリーの潤滑さが常連さんのそれであった。
関西に在住の方で東京に訪れた際には必ず立ち寄るそう。関西での出店を望んでいた。
店主はパッと関西にもお店を構えてしまいそうな雰囲気を持つ軽快な方だという印象を持った。
女性は初めてお店に来たであろう雰囲気の私にかき氷が絶品だと教えてくれた。
この日、この時間に来れてよかったと思った。
次回の『平岡海月のあま~い漂流記~お菓子い散文~』は12月上旬です。お楽しみに!!
X:@nc_waniwani
【information】
の・はぎ
食品添加物、白砂糖不使用。新しいおはぎ。あなたの、おはぎ。
住所:東京都渋谷区代官山町13-8
アクセス:代官山駅から4分、恵比寿駅から10分
※11:00-18:00 火曜定休(※祝日の場合は翌平日がおやすみ)
おはぎ ¥300~
Instagram:@nohagidaikanyama



平岡海月