今年一番面白いコントを決めるコント頂上決戦『キングオブコント(以下、KOC)』で今年含めて3年連続、決勝進出を果たしたファイヤーサンダー。コンビ結成5年目で『ABCお笑いグランプリ』で優勝するなど実力派コント師として着実な成長を遂げている。
そんな彼らによる単独ライブを収めたDVD『ファイヤーサンダー第3回単独ライブ「まだ足りない」』は、コント8本、幕間の音声コント6本とまさにコント尽くしの1本となっている。
※本記事は『+act.(プラスアクト)2025年12月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。
ネタをつくっている時、そばにいられても困る
――昨年に続いて単独ライブのDVDが発売となりました。
﨑山祐(以下、﨑山):今年も出せたという嬉しさはありますね。
こてつ:DVDになったからだと思うんですけど、配信サイトでも見られるみたいで。
﨑山:U-NEXTで見られます。それで思い出しましたけど、ラブホテルで見ましたっていう意見はよくもらうんです。…どういう需要なんですかね? わざわざ言ってくる人は何人かいました。
――今作を拝見しましたが、幕間も音声コントを入れるという、まさにコントづくしの単独ライブですよね。ネタをたくさん考えなければいけないという意味ではすごく大変そうですが。
﨑山:一番見てもらいたいものがコントですし、コント以外にやりたいことがないので、最初から最後までコントをやろうということなんです。それに全ネタ初下ろしではなく、今年に開催した新ネタライブからのネタ何本かと新ネタ、音声コントも過去にやったものもあれば新しくつくったものもあるので、そこまで大変ではないというか。準備期間がどれくらいかかってるかと聞かれると難しいんですけど、だいたい3カ月くらい前から単独については考え出す感じで。1カ月くらい前にラストスパートをかけるんです。
こてつ:僕は構成には関わってないので、全て相方に任せていますけど。
――では、1カ月前くらいから、こてつさんも参加されるんですか?
﨑山:いえ、5日前くらいです。
――え、本当ですか?
﨑山:だから、相方は楽してますよ。
こてつ:まぁまぁ(笑)。楽してるって言われたらそうかもしれないですけど、濃密な5日間ですから。
﨑山:僕としてもそのほうが楽というか。ネタをつくっている時、そばにいられても困るんでね。僕はひとりでネタを書くので、その期間は事務所の会議室にずーーっといます。で、台本はでき次第、渡して。
こてつ:1週間から5日前くらいまでにはもらってます。たまに前日とかライブの直前ということもありますけど、その辺は慣れでなんとかなりますね。
﨑山:単独ライブはそんなことないですけど、新ネタライブなんて当日のほうが多いですよ。芸歴も重ねていますし、これくらいの量ならこれくらい時間があれば覚えられるというのもわかっているので。
――となると、コンビを組んだばかりの頃はそうではなかったということですか。
﨑山:その頃からネタを考えるのは僕でしたけど、相方がそばにいた時期もありました。でも意味わからんなと思って。よく聞きますよね、自分がネタを考えてる時間に相方が何もやってないのが腹立つみたいな話。僕は逆で、一緒にいられるほうが腹立ちます。
こてつ:いやいや(笑)! 東京に来たばかりの頃は毎日、公園でネタ合わせみたいなことをやってた記憶はあります。けどまぁ、今のほうが確かに僕もありがたいです。
受け取っても面白いなとしか思わないです
――設定などバリエーションに富んだコントが多い印象ですが、ネタはどんなところからつくっていくんですか。
﨑山:シチュエーションからが多いですね。面白いと思ったものを出していくという感じですけど、今回はファンの人が数人だけ見てくれるアカウントをインスタにつくって、集中するためにインスタライブをしながらフォロワーに監視されてる状況で書きました。3、4人しか見てないくらいのものでしたけどね。
――すごいですね。ファンの人に監視されるのはいいけれど、こてつさんにはそばにいてほしくないというのが興味深いというか。
こてつ:いいんですよ、僕は! ネタの話はこっちだけで。僕に振らなくて大丈夫ですから!
――(笑)。ただ、ネタを受け取る時に感じることもいろいろとありますよね?
こてつ:いやぁ…ネタを考えなくなってから、そういう回路が老化してるんでしょうね。受け取っても面白いなとしか思わないです。それしか思わなくなっちゃったのか、本当に面白いからそう思っているのかはわからないですけど。
﨑山:その辺はどうでもいいです。相方が何を思っていても関係ないというか、僕が決めたことをやるだけですから。
――ふたりで合わせる時、書き手である﨑山さんは結構細かいところまで演出するんですか? 例えば、てにをはまで一言一句間違えないでほしいとか。
﨑山:あぁ…僕はそういうタイプで、単独はかなりきっちりとやってもらいますね。
こてつ:ただ、セリフで言いにくいところがあれば、言いやすいように言い換えてます。それで、相方に何も言われなかったらそのままやって、何か言われたらこうやってもいいか提案するんです。
﨑山:で、その言い方でよければいいって言いますし、ダメだったらダメだと言いますね。
こてつ:そういう相談はしますけど、(ネタの)中身について何か言うことはないです。
﨑山:しかも、できあがった台本を最初に読むのは相方じゃないですからね。案出しの時点で、金の国の桃沢(健輔)だとかにゃんこスターのアンゴラ村長だとかに来てもらったり、ネタが書けたらその辺の人達に送って意見をもらったりするんです。(相方を指して)言ってましたよ、今回も。
こてつ:単独前に桃沢とごはんに行ったことがあったんです。その時、単独のネタって知ってるんですかって聞かれたので何も知らないよって言ったら、こんなんありますよって教えてくれました。



