12月初旬、晴天ではあるものの冬の訪れを感じる冷たい空気を頬で感じながら、西武新宿線の東伏見駅を出て徒歩5分弱。早稲田大学東伏見グラウンドへ来ました。

というわけで、お笑い芸人カカロニすがやが大学サッカーを盛り上げるべく取材をしてきたコラムも第7回。今回は早稲田大学ア式蹴球部の練習を見学させていただきました!

2026シーズン関東1部を戦う新チームの練習を見学!

まず、ア式とはなんぞやという方もいるかもしれませんね。

長い歴史を持つ、ア式蹴球部。1924年の創部当時は、まだサッカーという言葉がなく、
Association Footballと呼ばれており、今でも、昔のサッカーの呼び名であるア式蹴球部と名乗っているのです。

余談ですが、1950年から開催されている早慶戦を戦う相手である慶應大学は『サッカー部』ではなく『ソッカー部』を名乗っています。1927年、この競技の俗称だったsoccerは、ソッカーと呼ばれたため、ソッカー部と命名されたそうです。

さて、早稲田大学ア式蹴球部(以下、早稲田)は、その長い歴史上で川淵三郎さんや、釜本邦茂さん、西野朗さんなど、数えきれないほどサッカー界の偉人を輩出してきましたが、近年は苦しい戦いが続き、2022シーズンに関東2部リーグに降格すると、そこから3シーズンに渡り2部で戦ってきました。

しかし今年、2025シーズンはリーグ戦を2位で終えて、悲願の1部昇格を果たしました。

そんな来季の関東1部リーグを戦うことになる早稲田の新チームの練習を見学させていただけることに。

グラウンドに続々と集まる選手たちは、防寒を重視しすぎてあまりにも不審者である僕にもしっかりと挨拶をして各々練習の準備をします。

チームに浸透している『まずは守備から』という共通理解

そして、早稲田のOBで、横浜F・マリノスなどJリーグの舞台で活躍し、日の丸も背負った兵藤慎剛監督をはじめとするスタッフ陣がピッチに入っていきます。

他の大学に比べると、ピッチ上にいるスタッフが多い気がしました。

伝統あるチームだけに、OBにも優秀な方が多く、その多くが早稲田を思っているからこその恵まれた環境なのでしょう。

練習前の軽いミーティングでは、兵藤監督から「先日お会いした川淵三郎さんが、早稲田の昇格を『今年あった何より嬉しい』と、喜んでくださっていた」という話をして、「例えば川淵さんではない、君たちが知らない方かもしれないが、自分たちが誰かの喜びになることができるということを胸にプレーしてほしい」という熱いメッセージが。

大学サッカーを見ていて感じる『人のためにプレーできる選手が多い』というのは、こういったことをしっかり人生の先輩である指導者陣が伝えているということも大きいのでしょう。

これは個人的な雑感ですが、兵藤監督は声がすごくいいな、と感じます。

芸人をやっていると、声や喋り方の癖に応じて、芸風や、笑いの取り方を変えないといけないと感じることもあり、人の声に注目しがちなのですが、兵藤監督は、よく通り、決して圧が強いわけではないですが、誠実さが伝わってきます。声優だったら上司の役が回ってくるだろうな、というくらい説得力と安心感がある声をしています。

その後に始まった練習では、間を通されない守備や、その間を鋭く通すような速いパス交換を意図的に意識させられるようなメニューが。早稲田が1部の舞台で復権するためには、『まずは守備から』という共通理解が感じられます。

▲メニュー前に選手を集めて練習の意図を伝えている

中には来期のJリーグ入りが内定している4年生が自主トレといった形で参加する姿もチラホラ。やはりレベルが高いです。

▲守備の仕方、ボールの奪いどころを確認しながら練習する