3年連続上演となる舞台『あゝ同期の桜』。若き俳優陣とタッグ!
――舞台演出家としては、8月に『あゝ同期の桜』を東京・三越劇場で3年連続上演。今年は木更津・かずさアカデミアホールでも上演されます。この名作を錦織さんが演出する意義をどのように感じていますか?
錦織:この作品は、演出という括りでは括りきれないところが面白いんです。演じる人たちに大変なことをさせちゃってる作品ですから。神風特別攻撃隊となった海軍飛行予備学生十四期会の学生たちの遺稿集を、榎本滋民さんが演劇にした作品なのでね。榎本滋民さんは、飛行予備学生として戦争が終わらなかったら十五期、十六期として飛んでいたかもしれない方。
舞台では、特攻隊員を見送る役目の庄司上等整備兵曹という登場人物が榎本滋民さん視点の存在なんです。彼がずっとノートにしたためているから、大学ノートを持って喋るという。
――今回は、中山秀征さんのご子息でもある新人の中山脩悟さんが初舞台にして初主演となりますね。どんな期待を寄せていますか?
錦織:この3月に青山学院大学を卒業したばかりでね。4年でちゃんと卒業して、その子が始めてお芝居をやるという。そういう彼の人間的なものがお芝居にも出るといいですよね。芸能界って子供の頃からやってないと……という声もあるけど、逆にこまっしゃくれちゃう場合があるじゃないですか。
彼を見た時に、大学にちゃんと行ってからこういう仕事を始める、その品性って正しいよなと思っちゃった。それだけ脩悟くんはしっかりしていたから。親御さんから厳しく育てられたんだろうなと感じました。今回は戦時中のさらに厳しく育てられた人物を演じるので、そういうところも役に合っているんじゃないかな。
――若い俳優たちと組んで作品を作るのは、どんなお気持ちですか?
錦織:不謹慎なことではなく、楽しく作らせてもらっています。逆に、つらい思いをして作るのは、英霊たちに申し訳ないですから。この作品は、さっきも言ったけど僕がほとんど何も言わなくても、幕開けからラストシーンまでの間に役者陣が自然に劇の中で成長しているところがいいんですよね。台本を読み込んで、シーンを演じて、ノートのくだりを喋っていると、自ずと入ってくるんでしょうね。その力強さがいい。
――作品の持つ力が若い出演陣と響き合って融合することで、劇の中で役が成長していくということなんでしょうか。
錦織:『あゝ同期の桜』に限らず、いい芝居ってそうなんじゃないかな。僕の場合もそうだったのかはわかりませんが、色んな登場人物を果てしなく演じた上で思うのは、役者や演劇の面白いところって、例えば僕自身は錦織一清の人生を生きているけど、違う人間を1か月演じたら、その間はその役の人生を生きるわけで。その自分の役柄から教わることもあるから、それが演技をやめられない魅力でもあるんです。
『あゝ同期の桜』でもみんなその役……自分のセリフ、喋っていることから学習してるんじゃないですかね。そうやって若い役者陣がだんだん変わっていくところが見ていて凄いなって思います。そして、この台本が持っている力の凄さも感じますね。今年の公演も、ぜひ楽しみにしてほしいと思います。


![錦織一清 写真集&カレンダー 『 言魂 - 10カラットの呟きと共に - 』 ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/314ALn4sXpL._SL500_.jpg)
