3月31日からスタートするNHK連続テレビ小説『あんぱん』。今作は、漫画家やなせたかしと妻・暢をモデルに、生きる意味を見失っていた二人の人生と、アンパンマンの誕生までの物語が描かれる。この作品で、主人公・のぶ(今田美桜)の幼馴染で海軍中尉の貴島勝夫役を演じるのが市川知宏だ。
今回が朝ドラ初出演という市川は、出演依頼を受けてから撮影まで待ち遠しい気持ちだったという。今回のインタビューでは、自身が演じた役柄について、作品の魅力などたっぷりと語っていただいた。
思いがけない嬉しい出演オファー
ーー今回、初めての朝ドラ出演ということですが、出演が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
市川:比較してしまうのもあまり良くないのかもと思いつつも、でもやっぱり嬉しさは違いましたね。10代、20代の時、ずっと朝ドラのオーディションを受けさせてもらっていたのですが、僕はご縁がなくて…。
でも、今回、柳川強監督が約10年前の朝ドラ『花子とアン』のオーディションの時のことを覚えていてくださって。この役だったら、もしかしたら市川くんに合うんじゃないかと思って声をかけてくださったそうです。当時は出たいなと思いつつも叶わなかったのですが、そこから数年経ってこのような形で出られることになったなんて驚きです。本当に嬉しかったです。
監督に感謝の思いを伝えたくて、調べたら監督が映画のトークショーに登壇することを知って、自分でチケットを取って行って、そこで監督と話をしました。
ーーえぇ!? 観客として監督に会いに行かれたんですか?
市川:はい。会場で監督に『市川です』って、話しかけた時に、とてもびっくりされていました(笑)。『えぇ!? なんでいるの!?』って(笑)。でも、お話できて良かったです。撮影が始まるまでの間、監督とじっくりとお話する時間はないので、自分の気持ちを伝えられて良かったです。
――ご自身の中で、とても大きなことだったんですね。
市川:はい、撮影が始まるまで、待ち遠しすぎて(笑)。そのくらい、朝ドラというものに対して、思いが強かったんだなと実感しました。出たいと思っていてもなかなかオーディションに受からなくて、ご縁がなかったんだなぁと。気持ちは落ち着いていたと思っていましたが、いざ出ると決まった時に、あ、やっぱり自分は朝ドラに出たかったんだなと、改めて気づきました。本当に、今回こういうタイミングで、この役で出演できて良かったです。
――撮影は、昨年9月ごろから行われたそうですね。撮影現場はいかがでしたか?
市川:やっぱり撮影チームの連携がすごいなと感じました。このチームで約半年から1年近く撮影をするじゃないですか。多分、たくさんの作品を乗り越えてきた組なので、照明部や、撮影部、演出部それぞれが、あまり多くを語らずとも連携が取れているから、現場が速く感じましたね。
あと、野外ロケの時、結構暑い日があったのですが、暑さ対策も本当に申し訳ないぐらいケアしてくださって。すごくありがたい環境の中で撮影をさせていただいたなと思います。あと、リハーサルの日があったり、方言指導の先生と一対一で練習したり、細かいことですが贅沢な環境だなと思いました。
――今回の作品の題材が、アンパンマンの生みの親であるやなせたかし先生ということで、日本国民、アンパンマンを知らない人はほとんどいないと思います。より注目度も高まるのではないかと思うのですが、『あんぱん』の台本を読まれて、どんな印象を受けましたか?
市川:朝ドラらしい、明るく元気な気持ちにさせてくれる作品だと思います。主人公が本当にはつらつとしていて、苦悩を抱えつつ、自分の夢に向かって頑張っていく姿というのが、視聴者の方も応援したくなるキャラクターになるんじゃないかなと思います。
やなせさんには、アンパンマンという作品を通して、読者を元気づけたいという思いがあったと思うんです。そのような思いもこの作品を通して見ている皆さんを元気づけられるような作品になるに違いないと思います。僕は、前半の台本だけ読ませて頂いたのですが、後半の物語も視聴者として、追い続けたいなと思います。それから、出てくるキャラクターがみんな前向きで、セリフ一つひとつにメッセージ性がすごくあるんです。
あと、これは裏の楽しみ方かもしれませんが、“これって、アンパンマンのあのセリフなんじゃない?”とか、“この人って、アンパンマンに出てくるあのキャラクターに似てるんじゃない?”って、アンパンマンをご存知の方は、さらに楽しめると思います! 気づく方は気づくと思います。
――そうなんですか!? それは面白いですね!
市川:実は、僕が演じる役にもリンクするアンパンマンのキャラクターがいるんです。視聴者の方がそれに気づいてくれたら嬉しいですね。