競馬とは参加馬の順位をつける相対評価の競技

競馬は「定量情報」と「定性情報」を、組み合わせて予想を立てます。定量情報は、数値化できる情報のこと。定性情報は、数値化できない情報(厩務員、騎手、調教師、トラックマンなどの声など)のことです。

競馬新聞の「予想」を反対から読むと「う・そ・よ(嘘よ)」。私は、予想や情報のすべてを鵜呑みにすることはなく「新聞のここは参考にするが、ここは参考にしない」と情報の取捨選択をしています。

定量情報では「馬体重は参考にしない」など、検討しない項目を決めています。

定性情報も選択しています。私は、厩務員のコメントより調教師のコメントを重視しています。見ている(世話をしている)馬の数が調教師のほうが多いため、調教師は相対的に(他の馬との比較を交えながら)馬のコンディションの違いを語っています。

競馬は、参加馬の順位をつける「相対評価の競技」ですから、競走馬同士の相対評価、あるいは、競走馬自身の相対評価(過去との比較)が大切です。

▲競馬とは参加馬の順位をつける相対評価の競技 イメージ:PIXTA

武蔵野は、社員の人事評価も競走馬と同じように、絶対評価と相対評価の2つの軸で評価しています。社員の賞与評価は、プロセス評価・業績評価・環境整備の点数・部下との面談・残業減の組み合わせで決まります。

プロセス評価は定性的評価で、仕事に対する取り組み方を評価します。

【武蔵野のプロセス評価項目】

  1. 仕事の責任を自覚し、常にお客様第一主義で仕事を行ったか
  2. 会社や上司の方針を十分に理解していたか
  3. 仕事遂行上の工夫改善や能率向上に努めたか
  4. 上司や同僚との仕事上の報告・連絡・相談は的確であったか
  5. 幅広くレベルの高い仕事ができるよう能力の向上に努めたか
  6. 実行計画(個人)を常に意識して仕事を行っているか

一方、業績評価は定量的評価、つまり数字による評価です。対前年比の粗利益額や、対前年比の営業利益などで評価が決まります。

プロセス評価と業績評価のバランスは職責によって異なり、職責下位の社員は「プロセス重視」で、職責上位の社員は「業績重視」です。

・職責下位:一所懸命やれば評価を上げることができる
・職責上位:一所懸命やっても、結果が出なければ高評価を得ることはできない

※本記事は、小山昇:著『できるリーダーは失敗が9割 自分史上最高の営業利益を手に入れる「仕事」の極意』(マガジンハウス:刊)より一部を抜粋編集したものです。