8月15日(土)の有観客ライブ『RUN! RUN! LIVE! 2020』は熱狂のうちに幕を閉じた。しかし、コロナ禍と猛暑という過酷な環境下で、アメフラっシのメンバーとスタッフたちは、試行錯誤と悪戦苦闘を繰り返していた。すべてはファンに喜んでもらうために――。そこで今週から2週にわたり「NewsCrunch」でしか読めない舞台裏レポートをお届けしていこう。
コロナ禍の中でも失われなかったアメフラっシの夏
「失われた季節」
2020年の夏は、のちにこう称されるようになるのかもしれない。
夏らしいことがなにもなかった、夏。
エンターテインメント業界でも、大規模な夏コンサートはほとんど中止になり、恒例となっているフェスも行われなかった。なんとも味気ない夏になってしまったが、僕のようなおじさんにとっては、もう何十回と過ごしてきた夏だからいいけれど、若い子たちにとっては一回の夏の重みがまったく違うはず。かなり大きな喪失感を味わっているのではないか?
それはアメフラっシも同じである。
勝負の年、と心に決めていた2020年。
それだけに、なにごともなく夏が通り過ぎていってしまうことは、いろんな意味でダメージが大きい。だからこそ8月15日に、日テレらんらんホールで「有観客ライブ」が開催された意味は、とてつもなく大きい。
そう、アメフラっシの夏は失われなかったのだ。
当日、リハーサルから取材をさせてもらうため、僕たちは午前中から日テレらんらんホールへと向かっていた。建物の裏側に設けられた関係者受付に足を運ぶと、そこに見覚えのある門があった。
極楽門だ!
2011年8月20日。当時、よみうりランドの敷地内にあったオープンシアターEASTで、ももいろクローバーZは過去最大となる夏コンサートを開催した。そのとき客席後方にあった極楽門から、ももクロが登場して客席を突っ切ってステージへと疾走する、という演出があった。まさにその極楽門が移設されて、この会場の裏手に建てられていたのだ〔オープンシアターEASTは2013年に閉鎖されてしまった〕。
これはもうノスタルジックな気持ちにならざるを得ない。
最初に「夏コンサートの会場が、よみうりランド内にある日テレらんらんホールに決まった」と聞いたとき、真っ先に頭に思い浮かんだのが極楽門だった。