予期せぬ展開も…波乱の幕開けとなった有観客ライブ

ちなみに、コンサート開演中には「声を出しての応援やコールは禁止」という注意事項が掲げられていたが、じつは開演前にも「会場内での会話は控えてください」とのアナウンスがあった。

たしかに知人と会場に来ていたら、隣の席まで距離があるから、会話をしようとなると、どうしても大声になってしまう。飛沫防止の観点からも、これはNGにせざるを得ない。いつもだったら開演前の時間というのは、これから始まるコンサートへの期待感からザワザワするものなのだが、この日に関しては「ただただシーンとしている」という、今まで味わったことのない異様な空気が場内を支配していた。

もし、これがまったくの密室だったら、本当に異様なムードになっていただろうが、換気のために扉を開きっぱなしにしていたため、外からの音が入ってきて、ちょっとした「夏感」すら味わえた。

この会場は独特な形状をしていて、入口側の扉、そしてステージの後ろにある扉が開閉できるシステムになっている(ステージ側は自動だが、入口側は人力で開けなくてはいけないので、なかなか大変!)。つまり両方の扉を全開することによって、場内の空気を一瞬にして入れ替えることができるのだ!!

▲ステージ後方の開閉式の扉。お客さんの安全最優先でライブ中にも換気が行われた

「そこまで換気が大事なら、広い野外会場でやればいい」という方もいるかもしれないが、未曽有の猛暑となり、なおかつ連日のゲリラ雷雨が首都圏を襲っている状況を考えたら、野外での開催はあまりにもリスキー。換気が万全で、直射日光を遮る屋根があるこの会場こそが、コロナと熱中症という二大懸念をクリアできるベターな選択肢だったのだ。

ただ、頻繁に扉を開閉するとなると、いつものコンサートとはさまざまな環境が変わってくる。扉という表現だと分かりにくいかもしれないが、要するに建物の前後にある「壁」がまるまるなくなって、そこを外気がイッキに通り抜けていく、というイメージ。つまりは半野外のシチュエーションが、30分に1回やってくるわけだ。

そう考えると、予定よりも早くリハーサルがはじまったのも納得だ。

ステージの上では、ボイトレ担当のMARICO先生がメンバーのすぐ横に立って、音の返りや響きを何度も確認していた。曲によって室内だったり、半野外だったりと状況が激変するので、このあたりは事前の綿密な確認作業が必要になってくる。これでは準備するための時間は、いくらあっても足りない。このコンサートが発表されたのは7月18日のこと。その時点で、もう1か月を切っていたわけで、そもそもの準備期間自体が短かった。

リハーサルが終わったあとは、これから来場するお客さんのために扉を閉めて、冷房をガンガンに効かせたが、いざ開場となると、外から熱風も入り冷房の効きはかなり弱くなっていた。リハーサルのときは客席が空っぽだったから、そこまで空調が悪いとは感じなかったのだが……こればっかりは事前に試すことなどできない案件。こうして想定外のことが続出する夏コンサートは、波乱の幕を開けることとなった。

▲当日のリハーサルは長い時間をかけて繰り返し行われた
【連載31回目の追記】
当日、コロナ感染拡大と熱中症に対する運営の徹底した対策に驚かされた。会場への導線でも「3密」を避け、予定より少し早めに開場を開始。入り口でも検温と体調管理表の提出、会場内の換気はもちろん医師も配置するなど「お客さんの安全ファースト」が図られた。お客さんによる協力も素晴らしく、まさに「みんなで作り上げたライブ」だった。

 『毎週アメフラっシ!』は次回9/8(火)更新予定です、お楽しみに。


■アメフラっシ「AMEFURASSHI SPECIAL EDITION Vol.7」
 
■雑踏の中で
 作詞・作曲・編曲:藤田卓也

 ■バカップルになりたい!
 作詞:桑原永江/作曲・編曲:松浦雄太

<配信サイト一覧>
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新曲の「メタモルフォーズ」が7月1日(水)午前0時より配信スタート! 新しいフェーズを予感させるダンスナンバーです!! さらにこれまでライブ会場のBGMとして使用されていたアメフラっシのリミックス音源「Pray for Rain ReMix by pepensow」の配信もスタート!

■「メタモルフォーズ」
作詞:MEG.ME/作曲・編曲:R・O・N
 
■「Pray for Rain ReMix by pepensow」Remix by pepensow
 
<配信サイト一覧>
https://ssm.lnk.to/amefurasshi