厳しい環境に気づいたメンバーたちに走った緊張感

配信番組なので、NewsCrunch取材班も現場には足を運ばず「家で配信を視聴する」という取材方法もあったのだが、第1回目ということでスタジオにお邪魔させてもらうことにした。

長年、アイドルの取材をやってきて、第1回目にはなにかが起こりがち、ということは経験則としてよくわかっている。有観客での単独ライブという、大きなハードルをクリアしたばかりのタイミングであることもあり、とにかく現場の空気感が気になった。

番組スタートの数十分前に収録スタジオに到着すると、すでにリハーサルが行われていた。リハーサルといっても、生でのリアクションが大切な番組なので、全体の流れや段取りを確認していくのがメイン。だからリラックスした空気になりそうなところだが、メンバーは一様に緊張していた。

一応、全員が同じスタジオにはいる。だが、ソーシャルディスタンスを保って横並びに座っており、しかもメンバー間は大きなアクリル板で仕切られていた。

もちろんアクリル板は透明だから、横を見ればメンバーの顔は見える。しかし、この日の稽古のテーマは「ワイプ芸」(たしかにこの時代には必要不可欠なスキルである)。ゆえに横を向いてメンバーとアイコンタクトをとると、画的にちょっとおかしくなってしまう。あくまでも目の前にあるカメラを見ながらトークをしなくてはいけない。

この日の講師にしてMCには、イベントでもずっと一緒にやってきた山本昇氏が起用されたので、そこは心強いポイントだったのだが、3密を避けるために別室からの参加。それこそアイコンタクトで救いを求めることは不可能だ。

なにげに厳しい状況であることに気づいたメンバーに緊張が走り、MC担当として進行のアシスタント役を任命された小島はなはリハーサルの段階で、もう涙目になっていた。

これがファンしか見ていない内輪の配信であれば、別に問題はないのだが、コメントを見ていると「はじめまして」の視聴者がけっこう多かった。もちろん少しは興味があるからこそ見てくれているのだろうが「つまらないな」と思ったら、そこで視聴するのを止めてしまう可能性が高い。

どんなに不安で緊張していても「この先、面白いことが起きる感」を、常に放出しておかなくてはいけない。これが冠番組の厳しさなのだ。