8月15日(土)の有観客ライブ『RUN! RUN! LIVE! 2020』は熱狂のうちに幕を閉じた。しかし、コロナ禍と猛暑という過酷な環境下で、アメフラっシのメンバーとスタッフたちは試行錯誤と悪戦苦闘を繰り返していた。すべてはファンに喜んでもらうために――。そこで先週に続き、NewsCrunchしか知り得ない舞台裏レポートをお届けしていこう。
ファンとメンバーが一緒になって「新しい楽しみ方」を構築
換気のために開けられていたステージ奥の扉が閉められると、それはまもなく開演であることを告げる合図となった。
ふたたび開いた扉から、メンバーがひとりひとり登場する。
ちょうど逆光になってメンバーの表情は見えない。
市川優月は「泣きそうになった。あんなにお客さんの前で歌いたいと思っていたのに、いざお客さんの前に立ったら、もうどこを見ていいのかわからなくなった」と語っていたが、愛来は「もう嬉しすぎてニヤニヤが止まらなかった!」と後に語る。
そんな感情を暗闇が隠してくれた。
そして4人の姿をクールに演出してくれたのだ。
観客にとっても半年ぶりのライブ。いや、もっとお久しぶりのファンもいるかもしれないし、今回が初参戦となる人もいたかもしれない。
この日、入場口のそばでお客さんが入ってきている様子をずっと見ていたが、前方の席のお客さんは今回のライブグッズを身に着けていた。この日は感染拡大防止のため、物販はナシ。つまり、わざわざ事前に通販で購入した熱心なファンということになる。うしろのほうの席の人はアメフラっシではなく、ももクロのグッズを持っている人がチラホラ。
確実に新しいファン層が増えてきていることは一目瞭然である。そんないい流れの中、わざわざ客席を半分以上も閉鎖しなくてはいけないのだから、なんとも歯がゆい部分もあったが、とにかく今回は安全にイベントを運営することが大事だった。
これはとても難しいところで、先週の記事で書いた「コール禁止」など、観客は多くの規制を受けながらライブを観ることになる。いつもならタオルを振り回して楽しむアゲ曲『轟音』でも、その行為は禁止され「タオルをステージに向けて掲げる」(うしろのお客さんの邪魔にならないように、高くは上げてはいけない)という、新ルールがメンバーから提案された。
〇第31回
そこまで制限されるのであれば「わざわざ会場まで行かなくてもいい」という人も、少なからず存在するだろう。
その気持ちは痛いほどよくわかる。いままで「当たり前」だったことが、ほとんど認められない、というのは辛すぎる。ただ、この規制が今年の夏だけの話だけではなく、ひょっとしたら、これが2021年からの「ライブの常識」となる可能性もゼロではない。
そういう意味では、この日、メンバーとファンが一緒になって「コロナ禍でのライブにおける新しい楽しみ方」を構築していく姿勢は、なかなか興味深かった。