コロナの影響で、おうち時間が増えてペットと触れ合う機会も多くなり、その存在感は更に大きなものになっているのではないでしょうか。そんな今だからこそ、もっとネコのことを知ってみませんか? 猫専門医・服部幸氏に、飼い主たちがあまり知らないネコたちの"仕草や泣き声の本当の意味"をお教えてもらいました。
※本記事は、服部幸:著『もっと! ネコにウケる』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
耳やヒゲにも表れる正直なココロ
イヌのように人間に対して分かりやすい感情表現をしないのがネコで、何を考えているのか分からないとか、ミステリアスだとか言われることもあります。
でも、ネコと暮らしてみると、そのときの心の動きに応じて、しぐさや行動、鳴き声のほか、体にもさまざまなサインが表れることが分かります。表情でネコの気持ちを読み取るのは難しいのですが、たとえば耳やヒゲにもネコの気持ちは表れています。
とくに耳の動きは、ネコの心理を率直に反映しています。
落ち着いているときや、屋根の上やキャットタワーの高いところにいて、自分が優位で自信があるときは、たいてい耳がピンと立っています。ピンと立てて前方に向け、視線も固定しているときは、何かに強い好奇心を持っているとき。
リラックスしているときや、何かを探しているときは、少し前方に傾いています。
耳が横に引かれるときは、警戒や緊張の表れで、強く後ろに引かれたら、威嚇や攻撃的な状態です。このとき目の瞳孔が広がっていたら、攻撃性が高まっています。
耳をぴたりと伏せてしまうのは、怖がっているとき。同時に、しっぽを股にはさんでいたら、相当怯えている状態です。ぴたり伏せていても、唸ったり歯をむきだすようなら、身を守るために攻撃をしかけようという状態で、このときも瞳孔は広がっています。
よく観察していると、口元のヒゲの動きにも心の状態が表れるのが分かります。
驚いたときや何かに好奇心を持ったときは、ヒゲがピンと張った状態になります。虫などを見つけて様子を探っているときは、ヒゲが前方に傾いていることもあります。警戒したり怒っているときも、前方に傾いています。また怖がっているときは、ヒゲを顔にぴったり付けてしまいます。
元気なときや喜んでいるときは、おおむねヒゲもピンと張り、一方、機嫌が悪いときや体調がよくないときは、ヒゲが力なく下がっていることが多いです。これらは口周辺の筋肉の緊張の具合によるものと考えられますが、高感度センサーでもあるヒゲは、感情の変化と無縁ではないでしょう。
飼い主さんは、日々愛情をもって接することで、これらさまざまな体のサインから、ネコの気持ちが読めるようになってくるはずです。