愛くるしく甘えてきたかと思えば、素っ気ないツンデレ気質がたまらない"ネコ"という生き物。従順ではないけれど、触れ合うことで日常の一服の清涼剤となる存在ですよね。いまだに続くコロナの影響で、おうち時間が増えて触れ合う機会も多くなり、その存在感は更に大きなものになっているのではないでしょうか。そんな今だからこそ、もっとネコのことを知ってみませんか? 猫専門医・服部幸氏に、飼い主たちがあまり知らないネコたちの"本音"を聞いてみました。

※本記事は、服部幸:著『もっと! ネコにウケる』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

ごはんは好きなとき何度でも食べたい

ネコは、人間のように決まった時間に食事をするという習慣はありません。

飼い主さんが用意してくれる食事以外にも、好きなときに食べたいし、食べたいときにいつでも食べものがあるのが理想で、本音では「何度でも食べたい」のです。

野生動物の食事の時間というのは不規則です。肉食動物なら獲物がとれるかどうかで左右され、1日に4~5回食べるときもあれば、何日も獲物を口にできず空腹に耐えなければならないときもあります。ネコの先祖も、そうした生活をしていました。

飼いネコの場合、食事の用意は人の役目で、成ネコなら朝・夕の2回ごはんを用意してあげるのが基本です。黙っていても朝晩、ちゃんとごはんが出てくるのですから、常に食糧を探さなければならない野生の暮らしや、野良ネコに比べたら天国のようなものでしょう。

でも、ネコは規則正しい食事を望んでいるわけではなく、本当は「好きなときにいつでも食べられる」のがいいのです。1日2回か3回という食事の時間は、人間の都合でとりあえず設定されているだけで、ネコの本音としては、何時であろうと「食べたいとき」が食事の時間なのです。

だから、食事スペースにふらっとやって来て、お皿が空っぽだったりすると、飼い主さんを振り返って「なぜカラなの?」という目で訴えたりします。たとえ、つい1時間前にお皿いっぱいのフードを平らげていたとしても、ネコには関係ないんですね。

▲ごはんは好きなとき何度でも食べたい! イメージ:PIXTA

食べたいときに何度でも食べたい、という欲求に応えてあげるには、ドライフードを常に少量お皿に入れておくか、1回の食事の分量を少なくして、日に何回か小分けにして与える方法があります。

その際、1日のトータルの食事の分量を決めたらそれを厳守し、オーバーしないように注意することが大事です。よく食べるからと、好きなだけ与えてしまうと肥満につながってしまいます。

ネコの「ちょっと食べたい」欲求に応えるために、ペットフードメーカーから手軽なおやつも市販されています。もっとちょうだいとおねだりされることも多いですが、少量だけ与えるのがコツ。食事の主体はあくまで総合栄養食を中心としたフードで、おやつは副食です。与える場合は1日の食事量全体の1割以内に抑えてくださいね。