ネコの鳴き声に込められているメッセージ

ネコと暮らしていると「長い付き合いなんだから、人の言葉くらい理解してくれてもいいのに」と感じたり、逆に「この子は、人の話が分かってるのでは」と感じたりすることがあると思います。

ネコと暮らす場合、ネコと言語によるコミュニケーションは無理だ、と決めつけてしまうより、ひょっとして多少は会話が成立するんじゃないか、と期待を持っていたほうが絶対楽しいと思います。

会話といっても、アニメのようにネコが人間の言葉をしゃべることはありませんから、人間の側から積極的にネコの言葉(鳴き声)を理解してあげよう、という姿勢が必要です。

ニャアとかミャーという鳴き声は、じつはネコ同士の世界ではほとんど使われません。子ネコ時代に、母ネコに自分の居場所を教えたり、困ったときに救いを求めるため、鳴き声をあげるくらいで、大人になるとネコ同士の会話としての鳴き声は、まず聞かれなくなります。

つまりネコの鳴き声は、ほとんどが人に向けられていて(けんかの際の唸り声や発情期の鳴き声は別です)、ネコはなんらかのメッセージを、鳴き声で伝えようとしているのです。

鳴き声には以下の基本パターンがあるので、まずこれを覚えておくだけでも、ネコの気持ちを知る助けになると思います。

●はっきりした声でニャーと鳴く
……何か要求したいときや不満を訴えたいとき。「ドアを開けて」とか「トイレが汚れてる」「ごはんまだ!?」など、状況に応じ何を求めているのかをくみ取って、不満を解消してあげましょう。これを語尾が上がるように「ニャアーン」と高めの甘い声で鳴くと「遊んでよ」など誘いの意味のことが多いです。

●長く強い声でニャーッと鳴く
……何か不快なことがあるとき。「はっきりした声のニャー」よりも、低い音に聞こえます。触られたくないのに、無理やり誰かに触られているようなときに発します。飼い主さんが気づかずに、トイレや押し入れに閉じ込めてしまったときなども、まずこの鳴き声で助けを求めます。

●短くニャッと鳴く
……名前を呼ばれたときや、何か声をかけたときの返事として返ってくる鳴き声です。「やあ」とか「ハイ」くらいの感じで、一緒に暮らす人に対して身に付けたネコ語の挨拶といえるでしょう。ドアを開けてもらったときなど、お礼のように「ニャッ」と鳴く例もあります。

他にもさまざまな鳴き声があり、ざっと分類すると約20種類になるともいいます。それを紹介するよりも、あなたがネコと暮らすなかで、さまざまな鳴き声を聞き取りながら、その意味を少しずつ理解していくほうが、楽しいネコ生活になると思います。

▲ネコの鳴き声に込められているメッセージ イメージ:PIXTA

鳴き声の聞こえ方は個体差もあり、ネコの品種によってもニュアンスが異なります。ペルシャなどの長毛種は、小さく細い声の子が多く、アビシニアンは声が大きめの子が多い印象があります。

「うちのネコは、めったに鳴かない」という方もいるでしょう。その場合、ネコと遊ぶときに、まめに話しかけたり、挨拶代わりによく声かけをしてあげると、返事で声を出すようになることがあります。その鳴き声をまねして返したりすると、徐々にかわいい声を出すようになる例が、けっこうあります。

コミュニケーションを楽しみたいという飼い主さんの姿勢を、ネコもだんだん感じてくれるのかもしれませんね。